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広瀬氏が初当選 自民30年ぶり議席奪還 参院選いわて

初当選を果たし、万歳三唱する広瀬氏(中央)=10日午後11時20分、盛岡市

 第26回参院選は10日投開票され、現新5人が争った岩手選挙区(改選数1)は、自民党公認の新人広瀬めぐみ氏(56)=公明党推薦=が26万4422票を得て次点の立憲民主党公認の現職木戸口英司氏(58)に2万2248票差をつけ、初当選した。同選挙区での自民勝利は30年ぶりで、本県初の女性参院議員が誕生する。【2~4面に関連】

 今選挙では、自民が2021年の衆院選後約1カ月で擁立した新人広瀬氏が1992年の故椎名素夫氏以来となる議席を奪還できるのか、2015年の知事選から続く野党共闘で立民現職木戸口氏が再び勝利できるのか、事実上の与野党一騎討ちが軸となった。

 広瀬氏は、弁護士として20年以上にわたり女性や子供の権利問題に取り組んできた実績を強調。若者や女性の人口流出問題の解決に向けた企業誘致や、子供を産み育てやすい環境づくりなどを重点政策とし、「女性の柔らかな視点で岩手の政治を変える」と訴えた。地道なあいさつ回りで名前と政策の浸透を図り、無党派層を含む女性票の積み上げに注力。公示日に来県した岸田文雄首相をはじめ、党幹部や女性閣僚の応援でてこ入れを図り、幅広く支持を伸ばした。

 木戸口氏は、東日本大震災の復興など、岩手に根差した政治活動の実績をアピール。物価高騰対策の消費税率引き下げ、新型コロナウイルス対策の検証と立て直しなどを公約に掲げ、「国民の生活が第一。岩手を守り、日本を変える」と訴えた。共産、社民両党と実質的な野党共闘態勢を構築し、達増拓也知事も全面支援したが、国民民主党県連が本部方針で推薦を見送るなど足並みがそろわず、昨秋の衆院選岩手3区で小沢一郎氏が敗北したショックも影響した。

 政治団体・参政党公認の新人白鳥顕志氏(51)は、化学物質などに依存しない食と医療などを訴えたが、浸透しなかった。無所属の新人大越裕子氏(58)、NHK党公認の新人松田隆嗣氏(48)も支持が広がらなかった。

 在外も含めた岩手選挙区の当日有権者数は103万4059人(男49万4709人、女53万9350人)。

 広瀬 めぐみ氏(ひろせ・めぐみ)上智大卒。1999年司法試験に合格、2001年に弁護士登録し法律事務所に勤務。08年に独立し、18年から再び法律事務所に勤務。一般民事事件を中心に活動。56歳。盛岡市出身。

「責任の重さで緊張」広瀬氏

 午後8時の投票終了直後にテレビで広瀬めぐみ氏の当選確実が報じられると、盛岡市菜園のホテルに詰め掛けた約120人の支持者からは割れんばかりの拍手が起こり、喜びが爆発した。本県初の女性参院議員誕生を目指した戦いが結実。30年ぶりとなる自民党の議席奪還を果たした広瀬氏は「まずは自分が訴えてきた政策にしっかり取り組みたい」と決意を示した。

 広瀬陣営は、平野達男元参院議員を本部長に選対本部を設置し、各地には女性部長を配して無党派層も含めた女性票の獲得へ注力。党幹部や閣僚が次々と県内入りするなどの総力戦で挑んだ。

 藤原崇県連会長は「県民の意志は岩手を変えるということ。人口減少や医療過疎、格差に悩む岩手を変えてほしい。国政の場でしっかりと仕事をしてもらえる広瀬さんを自信を持って送り出したい」と期待し、「岩手を変える取り組みを引き続き行っていく」と支持層拡大に取り組む姿勢を示した。

 11時すぎに支持者らの前に姿を現した広瀬氏は「一つのチームとして勝ち取った勝利。責任の重さで緊張している。これからは毎日岩手のことを考え、岩手のために全身全霊を尽くしたい。県民の暮らしが豊かになるよう、まずは人口減少対策などにしっかり取り組みたい」と意欲を示した。

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