奥州・金ケ崎

現代に続く地場産業 えさし文化館皮切りに巡回展 江戸時代の発掘成果紹介【奥州】

発掘された奥州市展2022の展示会場。「鋳物のまち」ならではの溶解炉の炉体など、現在の当地につながる出土物も並ぶ

 奥州市教委が主催する巡回展「発掘された奥州市展2022 近世の面影―仙台藩北辺の要害と屋敷―」は、同市江刺岩谷堂字小名丸のえさし郷土文化館を皮切りに開かれている。仙台藩の支配が確立され、地場産業や景観など現在につながる地域性も育まれた江戸時代の考古資料を中心に展示し、当地の近世について紹介している。同館では8月7日まで開き、その後市内4地域を巡回する。

 市内での発掘調査の成果を報告し、郷土の歴史や文化、遺跡を周知しようと2011年から開かれている。より古い時代から回数を重ね、今年度は近世に到達。仙台藩の城に次ぐ防衛拠点だった要害、藩士の屋敷を中心にスポットを当て、同館では考古資料(出土物)を中心に124点を展示している。

 近世の当地は仙台藩が統治。隣接藩との均衡状態を保つ水沢、岩谷堂などの要害に守られつつ、藩の経済を回す地域経営が進められた。展示されている溶解炉の炉体は、鋳物工房跡がある鹿野遺跡(同市水沢羽田町字御山下)から出土。遺構の年代は17世紀後半から18世紀とみられ、羽田町は現在も南部鉄器で知られる「鋳物のまち」で、当時から発展してきたことがうかがえる。

 昨年度までの展示に比べ、テーマとする時代が新しくなったため豊富な文献資料も並ぶ。梁川伊達家文書のうち、展示されている1656(明暦2)年の物は、新田の開発認可に関わる書類。コメ経済の中、伊達家は家臣に領地を給与として支給する地方知行制を採っていたが、土地の価値は見込み収穫高から算出したことも多かった。家臣は領民も動員した耕地開発を強いられたが、この農業政策が現在の田園風景・穀倉地帯を形作ったことなども紹介している。

 また、市内4カ所での最新の発掘調査の報告をパネルにまとめている。

 同館以降の巡回日程は次の通り。

 ▽市埋蔵文化財調査センター(8月13~28日)▽市役所衣川総合支所(9月7~28日)▽胆沢郷土資料館(10月1日~11月13日)▽市牛の博物館(11月19日~12月11日)

 

30日、学芸員とっておきの雑談

 奥州市教委などが主催する「学芸員とっておきの雑談」は、30日に同市江刺岩谷堂字小名丸のえさし郷土文化館で第1回、12月10日に同市前沢字南陣場の市牛の博物館で第2回が開かれる。

 市教委主催の巡回展「発掘された奥州市展2022」の関連企画。市埋蔵文化財調査センターの遠藤栄一専門調査員、市教委歴史遺産課の高橋和孝主任学芸員、えさし郷土文化館の野坂晃平課長補佐・学芸員(司会)が話題を提供する。第1回は「伊達政宗の地域支配戦略」、第2回は「北端の武士たちの諸相」をテーマに語り合う。

 それぞれ時間は午後1時30分から、定員30人、参加費400円。各会場に申し込む。第2回は1カ月前から受け付けを開始する。

 申し込みは、えさし郷土文化館=0197(31)1600=、牛の博物館=0197(56)7666=へ。

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