奥州・金ケ崎

地元和算家に焦点 桂茂吉ら資料交え紹介 要害歴史館企画展【金ケ崎】

金ケ崎要害歴史館で開かれている和算の企画展

 金ケ崎町西根達小路の金ケ崎要害歴史館は、第15回企画展「おもしろくてやさしい和算の世界 金ケ崎の和算家」を開いている。江戸時代に県南地方で盛んだった和算や地元の和算家について、豊富な郷土の資料を通して紹介している。8月31日まで。

 和算の資料を多数所蔵する桂ミニ博物館の桂功さん(同町西根森)や、県和算研究会員の横田晴充さん(同町西根表小路)、特に和算が盛んだった一関市の市博物館からも資料を借り受け、約40点を並べている。

 泰平の世となった江戸時代は、農地開発や土木工事のため武芸よりも計算や測量などに秀でた人材が重用され、和算も発展した。県南地方では仙台藩が藩校の科目に和算を取り入れたこともあり、藩の拠点・要害が置かれた金ケ崎の武士にも名人が現れた。

 展示で紹介しているのは、桂茂吉(1830~85年)と岩崎清右衛門秋房(1688~1753年)。このうち桂は最大流派の関流に学び、最上位の伏題と町見術(測量)の免許を持つ金ケ崎唯一の和算家といわれる。僧侶のほか、教諭や村会議員、神楽の庭元などとしても活躍した。展示では桂の伏題まで3段階の免許の巻物を並べている。

 道具類では、当時の計算機の一種・算木と算盤も展示。桁ごとの数を表す算木を、四則演算、乗数、方程式など計算方法別の升を設けた算盤に並べて使ったという。

 当時の「新編塵劫記」などの問題集には、現代の教科書でも見られる文章問題が掲載されている。展示では「継子算」や「嫁入り算」などユニークな題材を抜き出し、現代語訳したパネルを掲げている。

 金ケ崎要害歴史館は原則月曜休館で、開館時間は午前9時~午後5時。入館料は一般200円で、高校生以下は無料。問い合わせは同館=0197(42)3060=へ。

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