一関・平泉

内陸地震の記憶 後世に 復旧工事現場を見学 一関工高土木科

セルダムを間近で見学する一関工高の生徒

 一関市萩荘の県立一関工業高校(菅原基校長、生徒339人)土木科3年の4人は7月30日、同市厳美町の岩手・宮城内陸地震被災地や現在も復旧工事が続く現場を見学し、地震の爪痕の大きさを肌で感じた。

 授業で学んだ知識を地域の課題解決に役立てようと同校が取り組む「技術・知識を地域につなげるプロジェクト」の一環。同科のプロジェクトメンバーは、2008年6月14日に発生した同地震の記憶を後世に伝えようと、厳美市民センター山谷分館「震災資料展示室」の展示資料制作に向けて取り組んでいる。

 同日は生徒のほか、同プロジェクトに携わる地域住民や関係者合わせて15人が参加。同地震で大規模土砂災害が発生した産女川上流での治山工事現場や祭畤震災遺構などを巡った。工事の概要説明は施工を担当する平野組現場代理人の勝浦直人さん、現地の案内は周辺の自然環境に詳しい「須川の自然を考える会」の熊谷隆代表理事が担当した。

 このうち、産女川上流では、砂防堰堤(えんてい)の一種で円柱形のセルダムと、現在も復旧に向けて実施されている治山工事の現場を休工日に合わせて見学。工事に使用するコンクリートブロックが積み上げられた様子を目にしたり、土石流でえぐられた沢を高台から見下ろしたりした生徒たちは、その規模の大きさに圧倒されている様子だった。

 熊谷さんは「人目に付かないことだが、森林管理署や業者が命懸けでこういったことをしてわれわれの生活を守ってくれている。こういうことで社会での自分の在り方を考えてほしい」と伝えていた。

 佐藤湧大さん(18)は「普段見られない場所を見学し、地域の方の貴重な話を聞けた。学んだことをいろいろな人に自分たちが伝えていきたい」と話した。

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