奥州・金ケ崎

圧巻のアリア魅了 市民らも参加 地元出身声楽家、熱演 Zホール開館30周年記念・「トスカ」公演【奥州】

「スカルピア」がよこしまな情欲を歌い上げる第1幕最後のシーン。スカルピアの後で記念合唱団、児童合唱団、劇団「Zの風」など地元の出演者が合唱、演技をした

 奥州市文化振興財団設立30周年、市文化会館(Zホール)開館30周年記念事業オペラ「トスカ」公演が31日、同市水沢佐倉河の同ホールで行われた。同市出身のテノール歌手福井敬さん、盛岡市出身のソプラノ歌手野田ヒロ子さんら国内屈指の声楽家がソリストを務め、Zホール開館30周年記念合唱団、Zホール児童合唱団など地元の愛好者らも出演。1000人を超える観客が名アリアに彩られたプッチーニの名作オペラを堪能した。

 同財団では、節目の年にオペラ公演を同ホールで開催。これまでに「カルメン」「蝶々夫人」「椿姫」「ラ・ボエーム」を原語上演し、その中で市民合唱団、児童合唱団もプロのソリストとともにオペラの舞台をつくり上げてきた。

 今回は同市出身の及川貢さん(藤原歌劇団合唱部名誉指揮者)が公演プロデュースと合唱指揮を務め、松下京介さんが指揮、三浦安浩さんが演出。野田さんが主役「トスカ」、福井さんが「カヴァラドッシ」役、須藤慎吾さん(バリトン)が「スカルピア」役など国内でも指折りの声楽家がキャスティングされた。

 公演では、開演に先立って及川さんが見所や聞き所を解説。1800年のローマを舞台にした歌姫トスカと画家カヴァラドッシとの情熱的な全3幕の悲しい恋の物語が繰り広げられた。

 中でも福井さんによる第1幕の「妙なる調和」、第3幕の「星は光りぬ」といった名アリアでは観客がうっとりと聴き入り、大きな拍手が贈られた。

 終幕後、福井さんらソリストも出席して記念合唱団などの解散式が行われた。この中で福井さんは「楽しかった?」と団員に質問した上で「自分が一番楽しんでいた。最後のシーンももっとやっていたい、ここで終わるのが残念との思いが強かった」と名残惜しそうに語った。野田さんは「ステージを一緒にしてみてエネルギーが素晴らしいと感じた」と団員たちに感謝していた。

 同財団の菅原義子理事長は「熱演のおかげで多くの観客が満足し、余韻に浸っていた。200人を超える人たちが関わって努力して良い公演となったことに感謝している」と話した。

地域の記事をもっと読む

奥州・金ケ崎
2024年4月26日付
奥州・金ケ崎
2024年4月26日付
奥州・金ケ崎
2024年4月25日付
奥州・金ケ崎
2024年4月25日付