奥州・金ケ崎

「少年団」発展に尽力 名簿や記事、資料紹介 初代総長就任100年 後藤新平記念館企画展【奥州】

後藤新平記念館で開かれている企画展「健児を愛し愛された涙の総長~ボーイスカウト初代総長就任100年~」

 奥州市の後藤新平記念館(佐藤彰博館長)の2022年度第2回企画展「健児を愛し愛された涙の総長~ボーイスカウト初代総長就任100年~」は、同記念館で開かれている。1922(大正11)年に結成された少年団日本連盟の初代総長となり、草創期の発展に尽くした後藤と少年たちとの交流がうかがえる資料を展示。来館者は柔らかな表情で健やかな子供たちを見詰める後藤に思いをはせている。10月16日まで。

 国内でのボーイスカウトは義務教育年齢の少年たちを対象として一部の篤志家が組織した。さまざまな形態で活動を行う少年団が各地で活動する中、相互訪問で来日する英国皇太子を歓迎するための少年団日本ジャンボリー開催が決定。ジャンボリーの中心となる総裁が必要となったことから、東京市長を務めていた後藤に白羽の矢が立てられた。

 開催関係者からの熱心な懇請に後藤は臨時総裁を引き受け、有力者を動かして運営の経費をつくるなどジャンボリーの成功に尽力。少年団日本連盟総裁を正式にとの懇請を受け、21(同10)年6月に東京連合少年団長、続いて少年団日本連盟の総裁(規約改正後は総長)に就任した。

 展示資料では、発足当時の少年団日本連盟の規約や役員名簿といった資料のほか、市長辞職時の慰労金10万円を寄付したことを伝える記事、26(同15)年6月6日に行われた「後藤総長古稀祝賀会」の模様などを紹介している。

 また、大正天皇ご大葬の後に葬場殿の一部が宮内省(当時)から日本連盟に下賜された。それを基に文部省(当時)の構内に作られた少年団本部「金剛精舎」の関係資料も並ぶ。

 古稀祝賀会には全国の少年団員1500人が参加したという。祝賀会では団員から歌詞を募って作られた「後藤総長弥栄(いやさか)の歌」を斉唱。全国各地の少年団から団員と一緒に活動する後藤の姿を描くなどした絵はがきも届けられた。団員の作品の一部も展示されている。

 少年団に関して後藤は「学校と家庭と社会。この三つの力で少年は教化されるものでありますが、少年団とは、実にこの3要素を合わせた自治の訓練また一大倫理運動場」とし、少年団員と指導者が互いに教え、教えられる関係にあることが大事だと説いたという。そうした考えを講演したレコードやレコード用原稿なども紹介している。

 同記念館では「今回の企画では子供たちが混沌(こんとん)たる時代に生きていく力を身に付け、子供たちに教わる心構えで接していた後藤の考えに触れられる。子供たちと接している時は柔らかい表情を見せている写真が多い。そうした表情や考え方を感じてもらいたい」としている。

 シリーズ後藤新平人脈考(8)「三島通陽」も併催されている。開館時間は午前9時~午後4時30分。月曜休館。

 問い合わせは同記念館=ファクス兼用電話0197(25)7870=へ。

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