北上・西和賀

30年ぶりに“対面” 当時の在校生ら開封 旧山口小タイムカプセル【北上】

タイムカプセルを開封し自分の作品を手に記念写真に収まる当時の在校生ら

 1992年3月に閉校した旧山口小学校が記念に埋設したタイムカプセルの開封式は11日、同校があった北上市和賀町山口のふるさと体験館「北上」敷地内で行われた。当時の在校生らは、30年ぶりに“対面”した収納品の数々をいとおしむように手にしながら、思い出話に花を咲かせた。

 同校は1875年に開校。1992年に横川目、岩沢、仙人の3小学校と統合し和賀西小となった。

 タイムカプセルは、山口小閉校記念事業実行委員会が埋設したもの。埋設場所には「霊峰羽黒の丘に 毅然(きぜん)としてたつ山口小学校 万感の思いをこめ ここに百十七年の校史を閉じる」と刻まれた石碑が建てられ、裏には「このタイムカプセルは三十年後の二千二十二年吉日に開かれる」と記されていた。

 開封式は山口自治会や当時の在校生らによる開封事業実行委を組織して準備が進められてきた。

 同日は当時の在校生や保護者、地域住民ら約70人が参加。実行委員長の髙橋博敬自治会長は「小学校は地区民にとって最も愛着のある場所だった。統合は地域を二分しての論争となったが、子供たちの教育環境を考えて決断されたのだろう。不安と期待の中での開封となるが、当時を振り返り、思い出を語り合おう」とあいさつ。

 タイムカプセルは直径約1メートル、深さ80センチほどの円筒形のコンクリート製で、在校生代表らがシャベルで土をかき出し分厚いふたを外すと、校舎に設置されていたと思われる校章が現れ、見守っていた参加者から歓声が上がった。

 衣装ケースなどに収められた収納品を慎重に取り出し、多目的ホールで開封作業が行われた。中からは図画や習字、粘土細工のほか、教科書やカセットテープなど思い出の品々が次々と取り出され、参加者は自分の作品を見つけて喜んだり、懐かしそうに手に取って眺めたりしていた。

 当時5年生で、東京から帰省中の髙橋城史さんと市内在住の髙橋修さんは、図画を手にしながら「絵のことは覚えていないが、いろんな品を見るうちに当時のことを思い出した」と笑みを浮かべた。

 閉校時に児童会長だった髙橋範行さんは、閉校式の様子を伝える岩手日日新聞の記事を見ながら「『閉校しても山口地区がなくなるのではない。大自然から学んだことを将来にわたって大切にしていく』」と語ったようだが、その思いは今も変わらない。地域の良さを守り育て、継承していきたい」と、気持ちを新たにしていた。

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