北上・西和賀

電子部品生産増強 来年12月完成へ 新製造棟建設安全祈願 TDK北上工場

TDK新製造棟建設の安全祈願祭でくわ入れする生嶋執行役員

 電子部品大手のTDKは23日、北上市和賀町の後藤野工業団地に立地する子会社のTDKエレクトロニクスファクトリーズ(本社秋田県由利本荘市、林隆司代表取締役社長)北上工場敷地内で新製造棟建設の安全祈願祭を行った。電気自動車(EV)向けを中心に世界的需要が高まる電子部品・積層セラミックコンデンサの生産体制を強化。今後、3年間で400人規模の雇用を見込む。新製造棟は2023年12月の完成、24年早期の量産開始を目指す。【2面に関連】

 新製造棟は鉄骨造り1部4階建てで、延べ床面積3万3370平方メートル。当初は23年3月着工、24年6月の竣工(しゅんこう)を計画していたが、高まるニーズを踏まえ、今月の着工に前倒しした。

 TDK北上工場は01年立地。積層セラミックコンデンサの製造拠点として順調に業績を伸ばしてきた実績に加え、増産体制構築へ急を要する中、インフラ面や人的対応も含め現工場敷地内への新棟建設を決めた。

 総投資額500億円は、TDKが電子部品生産増強に向けた投資として過去最大規模。生産能力は、由利本荘市の本社工場と北上工場を合わせ既存施設の1・9倍(20年比)に増強する。積層セラミックコンデンサの材料はこれまで別工場で造られていたが、北上工場では材料も製造可能となり、完成品まで一貫した生産体制が構築される。北上工場の現従業員は1100人(契約社員等含む)で、23年度から3年間かけ1500人規模に増員する。

 EV普及や自動車の多機能化が進む中、機械的強度や高電圧への耐久性があり、信頼性が高い積層セラミックコンデンサのニーズが世界的に急増。TDKは同部品の車載向けシェアは世界トップクラスで、増産体制構築で国内外への自動車、部品メーカーへの供給量を増やす。

 安全祈願祭にはTDKをはじめ施工を担う鹿島建設、県、北上市などの関係者約40人が出席。TDK電子部品ビジネスカンパニーCEOの生嶋太郎執行役員がくわ入れし、達増拓也知事、髙橋敏彦市長、生嶋執行役員、林社長らが玉串をささげ工事の安全を祈願した。

 達増知事は「北上への新製造棟建設は大変喜ばしく、英断いただき感謝したい。TDKに本県ものづくり産業を牽引(けんいん)いただき関連企業の立地や地場企業との取引拡大、産業集積が一層進むことを期待している。県も北上市と連携し、人材の育成確保、定着をはじめ最大限の支援をしていく」と歓迎した。

 生嶋執行役員は「世界的な電子部品の需要の高まりで、TDKも(21年度決算で)過去最高の売り上げを出すことができた。積層セラミックコンデンサは北上工場で20年以上生産を続けているが、今後も大きく需要が伸びると考えられる。引き続き技術力を磨き、東北の地域社会と共に世界市場で競争に勝ちたい」と決意を述べた。

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