NEC跡地取得へ前進 一関市議会臨時会議 関連議案を可決
一関市議会定例会8月臨時会議は24日、開かれ、NECプラットフォームズ一関事業所跡地の全取得に向けた市長提出議案2件を原案通り可決した。同様の議案が2021年度に2度否決されて以降、市が全ての建物を解体・撤去後、更地で取得する方針に切り替え、活用構想案や経済効果の試算結果などを提示したことで議会側の理解が進んだ。市は同社取締役会での承認を経て取得に伴う仮契約を結び、市議会定例会9月通常会議の期間中に本契約に向けた取得議案を追加提出する方針だ。
同日は、専決処分した22年度一般会計補正予算(7号)など3件の報告、質疑に続き、土地開発基金条例の一部改正と同基金積立金22億8800万円の追加に伴う今年度一般会計補正予算(8号)の議案審議が行われた。
NEC跡地をめぐっては、19年3月末の事業所閉鎖を受け、前市長が3期目途中で全ての跡地を取得することを表明。当初は改修して活用する一部建物と更地部分を取得する方向で交渉し、次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」関連や貸しオフィスなどとして使用する構想を示していたが、前市長が任期満了に近づいた時期に提案した取得関連議案は2度とも否決された。
昨年10月に就任した佐藤善仁市長は、同社に交渉継続を申し入れ後、取得方法や利活用内容などの見直しに着手。市議会のNEC跡地を含む一ノ関駅周辺整備調査特別委員会に対し、進捗(しんちょく)状況に応じた検討結果を説明し、質疑を重ねながら理解促進に努めてきた。
こうした経緯を踏まえ、同日の臨時会議では質問人数が少なく、討論も共産党市議団の千葉栄生、齋藤禎弘の両氏にとどまった。議案に反対する立場の両氏は「市民の理解が得られていない」「市にもたらす効果が示されていない」などと問題点を列挙した。
1時間余りの質疑、討論を経て取得関連議案2件に対する採決が行われ、欠席議員2人と議長を除く23人のうち、清和会、輝郷会、一関みらい、市議会公明党の4会派と無所属1人を合わせて19人が賛成し、共産党市議団4人が反対した。
臨時会議終了後、報道機関の取材に応じた佐藤市長は「9月通常会議の一般質問でも関連の通告を頂いているので、そうした質疑を通じて本当の理解を頂くことになる。とはいえ、かなりの時間とエネルギーを費やしてきた事柄であり、きょうの多数可決という結果はそれなりの理解を頂いたものとありがたく思う」と語った。