北上・西和賀

障害者と地域つなぐ 多機能型事業所ito 就労支援、カフェ開店【北上】

親子連れらが訪れ接客するする関係者。施設と地域住民をつなぐ場にもなっている=北上市若宮町のito cafe

 北上市若宮町の多機能型事業所ito(藤村千紗管理者)で「ito cafe」がオープンした。利用者が自家焙煎(ばいせん)コーヒーやオリジナルメニューを提供し、駄菓子なども販売。利用する障害者の貴重な就労経験の場、住民との触れ合いの場、そして地域とつなぐ場になっている。

 itoは2021年11月開設。自立(生活)訓練、就労継続支援B型の二つの障害福祉サービスを手掛け、障害者の自立と就労を後押ししている。開設当初から1階フロアはフリースペースで、地域住民にも開放。駄菓子や雑貨、地場産野菜、パン、スイーツ、クラフト作家の作品などを販売する中、地域住民から「カフェがあれば」との声があり、障害者の就労支援の一つとして7月16日にカフェをオープンした。

 市内のコーヒー店が監修する自家焙煎コーヒーをはじめ、オリジナル開発したクラフトコーラ、チャイを販売。ジュースやゆず茶なども扱う。地域の住民や親子連れらが日々、立ち寄ってコーヒーやドリンクを飲んだり、駄菓子などを買い求めたりと、くつろぎと交流の場となっている。

 施設を利用する障害者は希望やその日の調子によってホール作業、ドリンク作り、会計、接客など分担。利用者の女性(35)は「『おいしい』と言ってもらえるとうれしいし、自信になる。地域の人たちと普通に話ができて気分もいいし、視野が広がり勉強になる」と目を輝かせる。

 別の利用者の女性(20)も「最初は人との関わりや接客が苦手だったが、慣れてきて楽しい。ドリンクの配合もやりがいがある。将来は介護系か納棺師を目指したい」と見据える。利用者にとって人とのコミュニケーション、仕事を学ぶ機会になっているようだ。

 藤村管理者は「利用者は日々紆余(うよ)曲折はあるが地域の方々が温かい目で見てくれ、自然に関われるようになっている。少しずつ根付いていけば」と手応えを語る。

 7月末からは、在宅医療を手掛ける市内の「ホームケアクリニックえん」が毎週木曜、カフェ内に「つむぎつなぐ保健室」を開設。スタッフが地域住民の暮らしや健康、医療、介護の相談に無料で応じている。住民同士を広くつなぐ場として活用され、藤村管理者は「今後も地域に開かれ、住民が来やすい場所にしていきたい」と話している。

 多機能型事業所ito 長年社会福祉士、各種相談業務に携わってきた藤村管理者が代表理事を務める一般社団法人itoが運営。精神、知的、身体の各障害者、発達障害のある人が利用する。施設2階で行われている自立訓練は定員9人で、ゆったりとしたリビングで個々に応じた多様なプログラムを用意。1階の就労継続支援は定員10人。利用者はカフェのほかホテル、駐車場の清掃や地域の高齢者宅等の雪かき、窓拭き、草取りなどにも当たる。カフェの営業は午前10時~午後5時、日曜定休。北上市若宮町2丁目の7の1。電話0197(72)8191。

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