県内外

クマに注意 ブナ凶作で餌不足 人身被害が急増【岩手】

 県内でツキノワグマによる人身被害が急増している。県が8月29日現在でまとめた2022年度の人身被害は20件で、過去最多だった20年度の27件を上回るペースという。秋は紅葉やキノコ採りで山に入る機会が増えることから、県は県民に対し注意を呼び掛けている。

 月別の内訳を見ると最多だった6月の6件に続き、8月も5件発生。8月10日に住田町で70代男性が散歩中に襲われ重傷を負ったのをはじめ、同11日には遠野市で渓流釣りをしていた30代男性、同27日には八幡平市で山菜・キノコ採り中の70代男性が襲われて負傷するなど人身被害が相次いでいる。

 このほか、県南でも8月下旬から今月上旬にかけてツキノワグマによるとみられる物的被害が続発。一関市では袋に入った玄米を食べられる被害が発生し、北上市や花巻市でも養蜂箱が壊されたり、くず米を食べられたりする被害があった。

 県は被害が急増していることについて、ブナの凶作による餌不足が背景にあるとみる。市街地や人里に出没するケースも目立っており、餌を求めて行動範囲を広げているとして注意喚起している。

 特に入山する人に対しては▽単独ではなく複数で行動する▽鈴やラジオなど音の出るものを携行する▽悪天候時や渓流沿いなど音の届きにくい状況では特に注意する▽忌避スプレーや鉈(なた)などの撃退グッズを携帯する―よう呼び掛けている。

 県自然保護課の酒井淳総括課長は「クマを見掛けた場合は慌てず落ち着いて安全な場所に避難し、すぐに最寄りの警察や市町村に連絡してほしい」と話している。

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