花巻

伝統絶やすまい 3年分の思い乗せ 花巻まつり

開町400年記念新花巻音頭で見物客を楽しませる踊り手たち

 開町430年の節目となった花巻まつり。10、11日、新型コロナウイルスによって中断していた伝統のまつりが3年ぶりに復活した。力強く通りに繰り出す力作ぞろいの風流山車、人々の幸せを祈る伝統芸能を受け継ぐ人たち、花巻ばやしに合わせ見物客を魅了する優雅な踊り。伝統を絶やすまいと、祭りに参加した人たちの思いを紹介する。

 「3年分の集大成だ」。祭りまであと5日に迫った夜、完成した風流山車を前に東町町内会顧問の福岡信三さん(68)はほっとした表情で語った。東町生まれの東町育ち。新型コロナ前は祭典委員長も務めた。山車の制作をはじめ祭りのノウハウに教科書は無く、世代を超えて人から人へ伝えられる。「祭りがなくても作ろう。今やらなければならない」。継承に危機感を覚え、そう心に決めて臨んだ。

 通りに繰り出した山車は新型コロナ感染拡大前から4台減った。安全・安心を最優先に考え、運行を見送った若葉町親交会は伝統を絶やすまいと、過去に使った武者人形や山車を彩る牡丹(ぼたん)の作り方などを紹介する展示、太鼓の体験コーナーを設けた。上田穣会長(69)は「山車がどんなものか分かる展示。来年はぜひ若葉町から出したい」と語った。

 神楽権現舞は豊作や人々の健康、家内安全、地域の繁栄を祈る。何があっても変わることなく福を届けてきたが、コロナ禍で過去2年は自宅に獅子頭が眠ったままだったというのは葛神楽保存会の鎌田貞幸さん(52)。「神様の力でコロナが収束してほしい」と願い、額に大粒の汗を浮かべた。

 市立南城小学校5年高橋茉結さん(10)は3年ぶりに小太鼓をたたいた。「花巻まつりの魅力は祭りばやし。はやしが聞こえてくるだけでわくわくする。緊張したが、参加できてうれしかった」と充実した表情を見せた。

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