北上川清流化40年の歩み 節目記念しシンポ 旧松尾鉱山 新中和処理施設【岩手】
八幡平市にある旧松尾鉱山新中和処理施設の運転開始から40年を迎えたのを記念し、「北上川から、環境新時代を考える~明るい未来へとつながる、SDGs・カーボンニュートラルの時代へ~」をテーマとしたシンポジウムが13日、盛岡市内で開かれた。参加者は講演やパネルディスカッションを通じて、環境保全やSDGs(持続可能な開発目標)などへの取り組みについて考えた。
北上川は、八幡平市にある旧松尾鉱山から流出する坑廃水の影響で汚染された時代があったが、閉山後、新中和処理施設の稼働により、以後、現在まで清流が保たれている。シンポは、1982年の施設による処理開始から40年が経過したのを機に、北上川清流化や鉱害防止の取り組みに理解を深めてもらおうと、県から施設の管理運営の受託するJOGMECが主催した。
同日は約160人が参加。あいさつの中でJOGMECの細野哲弘理事長は「東日本大震災など大きな災害があったにもかかわらず操業に支障を来すことなく、施設の確実な運転管理で流域の環境保全に貢献できたことをうれしく思う」と処理事業を振り返った。
シンポは基調講演とパネルディスカッションの2部構成で行われた。八重樫幸治副知事は「旧松尾鉱山の鉱害防止事業について―北上川清流化へのあゆみ―」、JOGMECの廣川満哉特別参与が「山と川、地球を守るということ―我が国の金属鉱山とその環境保全の取り組み―」、早稲田大理工学術院の所千晴教授は「SDGs、カーボンニュートラルからみる『水』の問題―SDGsを踏まえた将来の鉱害防止事業の在り方―」と題しそれぞれ講演。続いて所教授や県立大の辻盛生教授らパネリスト5人と女優ののんさんが意見交換した。
講演の中で所教授は、鉱山廃水処理を例に清澄水の放流までには資源エネルギーや中和剤などが使われ、二酸化炭素(CO2)や廃棄物が排出されいることを示しながら、「CO2や廃棄物を出すことが悪いのではなく、きちんとコントロールすることが大切。いろんな環境負荷をバランス良く多面的に解決するためにSDGsがあり、その17番のパートナーシップが全ての目標とリンクしている」と述べた。