花巻

泣いて笑って元気に育って 東和・三熊野神社 十二番角力式【花巻】

十二番角力式で境内に元気な泣き声を響かせる赤ちゃん

 花巻市東和町北成島の三熊野神社(伊藤幸夫宮司)で19日、泣き相撲として知られる神事「十二番角力(すもう)式」が行われた。地域ゆかりの赤ちゃんが境内に泣き声を響かせ、子供の健やかな成長を願う父母らの笑顔が広がった。

 市内を中心に近隣の5カ月から2歳ぐらいまでの12人の男児が参加。南北に分かれ、白いはんてんに手拭いの鉢巻きを身に着けた赤ちゃんを、親方が抱いて土俵に上がり、6番の取組を行った。

 親方の「ヨッー、ヨッー」という掛け声に合わせて赤ちゃんの顔を近づけ、泣いた方が負け。北上市の会社員齋藤慎也さん(31)は1歳7カ月の新ちゃんを土俵に上げ「家ではすごい活発で、相撲の時は眠い時間だったのか、始まる前から泣いてしまった。健康に育ってほしい」と笑顔を見せた。

 十二番角力式は今から約1200年前、同神社の創建に当たり、坂上田村麻呂が社前で部下に相撲を取らせたのが始まりとされる。猿ケ石川を境にした南北の青年による相撲だったが、勝った方に豊作をもたらすという占いが激しい争いの元になったことから、江戸時代中期に神社氏子の長男で数え2歳の幼児による泣き相撲に変わり、幼児の成長と豊作を祈る行事として続けられている。

 1988年からは春場所として全国泣き相撲大会も開催されているが、ここ3年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止。神事としての泣き相撲は毎年続けられ、伊藤宮司(45)は「子供たちの表情を見てほっとした。世のため人のためになる大人に成長してほしい」と話していた。

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