一関・平泉

NEC跡地取得決定 一関市議会、賛成多数で

 一関市が利活用を計画するNECプラットフォームズ一関事業所跡地の取得議案は22日、市議会定例会9月通常会議の最終本会議で審議され、清和会、一関みらい、輝郷会、市議会公明党4会派などの賛成多数で可決された。議決を受けて佐藤善仁市長は「きょうでスタート地点に立ったという感じだ。プランをしっかり練り上げ、多くの民間資本を導入できる仕掛けをつくっていきたい」と語り、管理運営法人設立準備会でさらに議論を重ねる考えを示した。【2面に関連】

 取得が決まったのは、JR一ノ関駅東口に隣接するNEC跡地(同市字柄貝ほか)約8万3612平方メートルで、取得価格は不動産鑑定評価額に基づいた17億6000万円。既存の建物や立木などの解体、撤去にかかる費用5億2800万円については、同日付で市と同社が締結する補償契約に盛り込まれる。

 同日は議案審議に続いて討論が行われ、賑(にぎ)わい創出ゾーンなどで想定されている商業施設について齋藤禎弘氏(共産党市議団)は「既存商店街への影響が大きい」などとして取得議案への反対を表明した。

 一方、那須勇氏(清和会)は「跡地での新たな取り組みが市外への人口流出を抑制し、若者が定着する足がかりになる」、永澤由利氏(一関みらい)は「意欲に満ちた若い世代の思い、市発展の可能性、チャンスを自ら閉ざしてはならない」とそれぞれ賛成討論を行った。

 表決システムによる採決の結果、共産党市議団4人を除く21人が賛成し、取得が決まった。

 約1年前に反対した議員の多くが今回は賛成したことについて佐藤市長は「いろんな疑問や質問に一つ一つ答えていったこと」が取得への理解につながったとの認識を示した上で、「管理運営法人設立準備会の中で議論を重ね、進捗(しんちょく)状況について議会の特別委員会に説明し、設立に向けて進めていく。市側と議会側とのキャッチボールの中でさらに具体策が練り上がっていくものと思っている」と述べた。

【解説】利活用議論深化を

 2021年に2度にわたって議案否決などがあったNECプラットフォームズ一関事業所跡地を市が取得することが決まった。今後は23年度に予定されている跡地の管理運営法人設立に向けた準備が加速し、これまでの利活用構想をさらに具体化させる計画策定の中身が焦点になる。

 市が跡地全てを取得することをめぐっては当初、市議会の中で慎重論が強かった。そもそも明確な利用目的がない状態で取得するという手法に理解が得られなかったことや、市の財政状況からして多額の初期投資となる事業への不安もあったからだ。

 戦略を練り直した市側が、議会側が求めた土地活用のイメージや経済効果額などを提示したことで一部会派を除いて市の方針に大方の支持が得られた。

 ただ、跡地が市に引き渡されるまでは、さらに4年程度を要するだけに、今後もあらゆる機会を通じて市民の理解と利活用議論を深める必要がある。

(報道部・佐藤浩)

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