太平願い いざ出陣 東山 3年ぶり唐梅館絵巻【一関】
天正18(1590)年の小田原参陣に関わる軍議を再現する第20回唐梅館絵巻(実行委主催)は25日、一関市東山町で開かれた。秋晴れの空の下、総勢333人の武者らが集結した軍議が演じられ、市内外から訪れた観客が400年以上の時を超え鮮やかによみがえった歴史絵巻を堪能した。【11面に関連】
唐梅館絵巻は豊臣秀吉の通達による小田原参陣について葛西氏重臣千葉一族の本拠地唐梅館に磐井、胆沢、江刺、気仙、本吉、登米など諸将の武者が集まり、秀吉の命に従うか否かの軍議を行う様子を再現するイベント。秀吉の命に従わないことを決し一族は秀吉軍を迎え撃とうとしたが、大軍を前に敗れ、400年の歴史を誇る一族は滅亡した。
20回の節目となった今年は新型コロナウイルス感染拡大による中止を経て3年ぶりの開催。総大将の千葉介広胤役に俳優・モデルの水沢林太郎さん(19)を迎えた。
絵巻は町中心部の長坂商店街で東山こども園と松川保育園の園児による「ちびっこよさこい」で開幕。地元女性らの総祝い千人踊りや大勝餅まき、銀座大龍神(同市)、浪板虎舞(宮城県気仙沼市)の勇壮な演舞などが繰り広げられた。
商店街から唐梅館総合公園までのコースで軍議参上行列を再現し、城主や家臣、若武者などに扮(ふん)した人たちが通りを練り歩いた。
同公園で行われた軍議では、集結した武者を前に総大将役の水沢さんが「築き上げたこの浄土を秀吉に踏みにじられてなるものか。秀吉の軍勢に立ち向かい千葉一族の意地を見せようぞ。いざ出陣である」と口上を述べ、全員で「エイ、エイ、オー」と気勢を上げた。
出陣餅まきの後は宵演舞としてげいび大獅子太鼓や県立大東高校鹿踊(ししおどり)部、行山流大木鹿踊保存会、げいび藤美連が太鼓や鹿踊、よさこいなどで盛り上げた。
同町松川から訪れた千葉真理子さん(41)は「家族2人が出たので応援のため見に来た。天気が良く総大将役の水沢さんもかっこ良かったので人出も多かったのでは。3年ぶりに盛り上がった」と喜んでいた。
【訂正】「浪板虎舞」の名称に誤りがありました。