奥州・金ケ崎

パワー半導体生産へ 地元中心に新採用見込み デンソー岩手【金ケ崎】

新事業のため設備が搬入されたデンソー岩手の300ミリメートルウエハの工場(同社提供)

 自動車用の半導体や電子デバイス部品の製造・販売を手掛ける金ケ崎町西根森山のデンソー岩手(伊藤秀一取締役社長)は、電動車の世界的な需要拡大に対応するため、車載パワー半導体用300ミリメートルウエハ生産の後工程を新たに担う。電動車の中核を成すICチップの切り出しと電気検査を2023年6月から量産計画で進める。今年からの3年間で地元を中心に50人の新採用も見込んでいる。

 自動車業界では、カーボンニュートラル実現のため車両の電動化が加速している。パワー半導体は、電気自動車やハイブリッド車の走行でモーターの制御・駆動、バッテリーからの電気の交流変換のため必要となる。

 同社で新たに加工を担う半導体材料の300ミリメートルウエハは従来の直径より1・5倍大きい規格で、供給力と品質の向上、コストの低減が期待されている。同社は親会社デンソーの生産体制に組み込まれ、生産受託会社で加工され前工程が済んだ材料を受け取る。後工程として、この材料からICチップの一種・絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)を切り出して検査。IGBTを組み込むパワーカードの生産まで手掛ける。

 これに伴い、敷地内の約2400平方メートルを300ミリメートルウエハの新工場に改修。9月から試作を始めた。パワーカードを生産している既存の電子デバイス工場でも来春に1本ラインを増設し、8本体制で増産に対応する。新事業に伴うデンソー岩手の投資額は、今年からの3年間で約130億円。経産省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」採択事業となっている。

 新事業は、14日に同社で行われた創業10周年記念式典の席上で発表された。伊藤取締役社長は「自動車用の半導体に要求されるのは高い品質。検査の最後のとりでとして電動化に貢献したい」としている。

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