立体作品伝わる迫力 オブジェや仏像並ぶ 阿部龍一展 利根山光人記念美術館【北上】
利根山光人記念美術館の2022年度後期企画展「色即是空 阿部龍一展」は、北上市立花の同館で開かれている。同市和賀町横川目在住の美術家・阿部龍一さん(57)による、流木などを使ったオブジェや粘土で作られた仏像などが展示されており、圧倒的な迫力で見る人を引き付けている。11月30日まで。

阿部さんは花巻市出身で岩手大教育学部特設美術科卒。中学校の美術教諭として生徒指導に当たりながら精力的に創作活動を続けており、独立展や岩手芸術祭など数々の美術展で入賞を果たしている。2009年には利根山光人記念大賞展トリエンナーレ・きたかみで第1部門賞を受賞。現在は北上市立南中学校勤務。独立美術協会準会員、エコール・ド・エヌ会員。
ドローイングや油絵といった平面上の創作が中心だったが、十数年前から「長い年月をかけて大自然の力が生み出した完璧なまでの造形美としての流木」を用いた立体の作品づくりを始めた。「朽ちていくものにこそ存在感や美しさがあると感じるようになった」と、塗料の剥げたトタンや古文書なども素材として使っている。
近年は禅をはじめとした仏教に興味を抱き、仏像の制作にも取り組んでいる。写真資料を見ながらの模刻で、材料は中学生の教材にも使っている石粉粘土。阿部さんは「日本人が大切にしてきた美意識としての仏像を自分も表現したいと思った。オブジェと違って自由度はないが、石粉粘土は何度でもやり直しが利く」と語る。
今回は、F130号の油彩「地天女」、F130号変形のオブジェ「うぶすな4」、高さ205センチの仏像「日光菩薩(ぼさつ)像」など23点が同館に展示されているほか、同市大通りの「おでんせプラザぐろーぶ」3階ミニギャラリーにもS100号の油彩「SHI・JI・MA 3」など2点が飾られている。
阿部さんは「約14年間の創作の変化を見ていただき、展示空間も一つの作品として感じてもらえればうれしい」と話している。
同館の開館時間は午前10時~午後4時(入館3時30分)。入館料は一般300円、高校生120円、小中学生60円。定住自立圏内(北上、奥州、金ケ崎、西和賀各市町)の小中学生は無料。問い合わせは同館=0197(65)1808=へ。