訓練で研修成果披露 建物使い消火、救助 市消防本部新人職員【花巻】
花巻市消防本部に今春採用された5人が21日、実務配属前の初任職員集中研修の一環で火災防御訓練を行った。集合住宅での火災を想定し、実際の建物で消火や要救助者を救出する訓練を行い、市民の安心・安全を担う消防職員としての決意を新たにした。22日にそれぞれ所属先に配属される。
5人は4月、矢巾町の県消防学校に入校。消防職員として基本的な知識や技術を学ぶ初任教育を修了し、今月7日に帰庁した。
市消防本部は、消防学校で習得した知識や技術に加え、実際の災害現場に対応できる力を強化しようと、2022度から新たに2週間の「初任職員集中研修」を設定。研修最終日には、総合訓練として実際の建物を使用した火災防御訓練を実施した。
訓練は2階建てのアパートの1階居室から出火、1、2階とも煙が充満し2階バルコニーに手を振る要救助者、2階居室に意識のない居住者がいるとの想定。火災指令を受け、防火衣と空気呼吸器を身に着けて消防車両で出動した。
現場に到着すると指揮隊長や小隊長の指示により活動を開始。消防ホースを延長し、2階バルコニーで手を振って救助を求めていた要救助者を救出。屋内の検索、火災で逃げ遅れた意識のない要救助者をはしごを使って2階から1階へ下ろす応急はしご救出訓練などを行った。
花巻北消防署の藤原秀孝署長は「集中研修は現場対応力を強化するのが目的。消防活動は組織力の活動であり、新任職員は先輩職員のサポートを受けながら、与えられた役割を果たし、所期の目的を達成できた」と講評。
東和分署に配属予定の下瀬川優雅さん(19)は集中研修で上達を感じる一方、実災害を想定した総合訓練で現場に応じて機転を働かせることの必要性を実感し、「市民に頼られ、市民に愛され、そして自分も市民を愛せる、思いやりを持って接していける消防職員になりたい」と語った。