エミリィと戦争に焦点 蔵書やパネルで紹介 図書館企画展【金ケ崎】
金ケ崎町立図書館の企画展「エミリィと南北戦争 賢治と軍馬補充部六原支部」は、同町西根西地蔵野の同館で開かれている。同町の姉妹都市米国アマースト町の詩人エミリィ・ディキンスン(1830~86年)について、多くの作品を書いた時期と重なる同戦争を絡めて紹介。花巻市の詩人・童話作家宮沢賢治(1896~1933年)については、創作に影響を与えた旧陸軍省軍馬補充部六原支部(金ケ崎町六原)への訪問を作品と共に回顧している。30日まで。
同館には姉妹都市の縁でエミリィ・ディキンスン資料センターが開設されている。米国を代表する女性詩人のエミリィと賢治について、これまでも共通点に着目し企画展で取り上げてきた。今回は世情も踏まえ、戦争を大まかな共通テーマに設定。エミリィは17冊、賢治は35冊(禁帯出含む)の関連蔵書とパネルで掘り下げている。
エミリィの詩は死後に1789編が確認され、このうち半数近い約900編が南北戦争(1861~65年)中に書かれた。兄の親友ら知り合いの戦死を悼んだ作品や書簡も残る。パネルでは戦争に触れた詩2編を掲出。蔵書は同戦争とエミリィの作品を関連付けて読み解く評論などを並べた。
賢治の展示には、宮沢賢治記念館(花巻市)の牛崎敏哉学芸員が寄稿。2021年の同センター20周年記念イベントに招かれて語った賢治と同支部の関係について再構成し、パネル化した。
賢治は花巻農学校の教員時代、遠足で生徒と同支部を訪問。多数の軍馬が集まる様子に印象をかき立てられて「軍馬補充部主事」などを残し、「風の又三郎」にも影響を与えたという。これらの作品は、パネルと同記念館が提供した賢治の原稿の複写で紹介。出典作を収録した作品集なども集めた。
同センターの阿部由香研究員は「賢治の展示は地元がテーマなので広く紹介したい。エミリィと南北戦争はこれまでなかった視点。隠遁(いんとん)詩人のイメージがあるが、購読していた複数の雑誌や新聞で同戦争について関心を持っていた」と展示の見どころを語っている。
開館は午前10時~午後6時。