豚熱対策 経口ワクチン散布へ 県内初11市町で 野生イノシシ向け
県は26日、養豚農場への豚熱ウイルス侵入リスクの低減に向け、29日から野生イノシシ向けの経口ワクチンを散布すると発表した。県や市町村、関係団体で構成する県豚熱対策協議会(会長・米谷仁県畜産課総括課長)が実施。県内での散布は初で、一関など11市町が対象となる。12月末までに4000個を土中に埋め、イノシシが土を掘り起こす習性を利用して食べさせる。
本県では4月、一関市で捕獲された野生イノシシ2頭から県内初となる豚熱の感染が確認された。その後も感染確認が相次ぎ、26日現在で計78頭が判明している。県は豚飼養者に対し防護柵の設置や長靴の消毒などの感染対策について指導を徹底し、狩猟者に野生イノシシ捕獲に使用した車の消毒や衣服の交換などを注意喚起してきた。現時点で養豚農場での感染は確認されていないものの、侵入対策を進めるため、今月3日に県と33市町村、県養豚振興会、県猟友会などで構成する同協議会を立ち上げ、野生イノシシへの経口ワクチン散布を決定した。
経口ワクチンはワクチン液をトウモロコシの粉で包んでおり、イノシシが掘り起こして食べることで免疫を付けさせる。一関、平泉、奥州、北上、花巻、紫波、雫石、滝沢、矢巾、金ケ崎、盛岡の11市町を対象に、県猟友会が中心となりイノシシが生息する山林など約100カ所に埋める。
経口ワクチン散布は来春も実施を予定。県畜産課の髙橋真紀振興・衛生課長は「県内では野生イノシシの感染が多く確認されており、養豚農場への侵入リスクを低減させるためのワクチン接種が重要。農場でも改めて対策を徹底してもらいたい」としている。