一関・平泉

「確認作業で防げた」 市教委が謝罪 スクールバス男児置き去り【一関】

小学1年の男児が一時スクールバス内に置き去りにされた問題について謝罪する小菅教育長(中央)ら

 一関市教委は8日、市役所で臨時記者会見を開き、小学1年生がスクールバス内に一時置き去りにされた問題について詳しい経緯を説明した。運転手が車内を歩いて後部座席まで確認すべき作業を怠ったことを問題視し、終業時に記入、提出する業務報告書の必須項目として再発防止策を強化する方針を示した。児童が車内に置き去りにされた時間は1分程度だったものの、小菅正晴教育長は「置き去りに気付かなければ事態は全く違った展開になっていた。児童の行動がなければと考えると身のすくむ思い」と語り、謝罪した。

 問題が発生したのは2日の下校時。スクールバス(29人乗り)の男性運転手(72)が運転席から別の児童に乗車の有無を確認していた際、当該の男児(7)が乗ったことを認識せず、午後3時10分ごろに児童5人を乗せて学校を出発した。運転手は児童4人が乗車していると思い込んだまま所定のルートに沿って運行。3カ所目までの停留所で児童4人が降りたため、当該児童が降りるはずの停留所に向かわず、3時30分ごろに所定の屋外駐車場に戻った。

 運転手は運行終了時に新型コロナウイルスの感染防止対策として室内の消毒作業と、後部座席へ移動して車内に児童がいないか確認する義務があったが、その後の私用で急いでいたことや、乗車した児童が全員下車したと認識していたため、消毒作業と車内確認を行わず運転席側のドアから降車し、施錠してバスを離れた。

 乗車後に後部座席で眠ってしまった男児は、ドアが閉まる音で目を覚まし、運転席まで移動してクラクションを鳴らしたため、まだ近くにいた運転手が気付いてバスに戻り、3時40分ごろに保護者の家族が待つ停留所に送り届けたという。

 市教委によると、翌3日に男児の保護者から電話を受けた運行業務委託会社が運転手に事実を確認後、会社関係者が男児の自宅を訪問して直接謝罪。保護者から学校にも連絡があり、市教委は4日午前に問題を把握した。

 市教委は、静岡県で起きた園児の置き去り事件を踏まえて9月に運行業務委託会社に車内点検の徹底を求める通知を出したばかり。会見で小菅教育長は「義務付けられている後部座席までの確認作業をもってすれば確実に防ぐことができた。経過と原因を再度、分析、検討し、市内全てのスクールバス運転手がこのことを共有し、同じ過ちが二度と発生しないよう決意し、信頼回復に努めていく」と語った。

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