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メイプル来年4月閉店 奥州・水沢 「市主体で再生」検討

 奥州市水沢の中心市街地の拠点となっているメイプルが2023年4月末で閉店することとなり、管理運営する水沢クロス開発(千葉貢代表取締役社長、同市水沢字横町)は10月末にテナントに対して閉店の通知を出した。メイプル閉店を受け、財政支援を行ってきた市当局は対応を検討。14日に開いた市議会全員協議会で「民間譲渡を見据えた市が主体となる再生策」と「市の関与を極小化した策」を示した。市当局は市が主体となる再生策を優先して進めたいとし、年内に関連予算案を示す方針を出した。

 メイプルは1985年に郊外型店舗が広がる中、中心市街地を再活性化させようと旧水沢市(現奥州市)が事業主体となって整備した複合商業施設。消費減退や物価の下落、近隣への大型店出店などの影響を受け、売上高は93年の約80億円をピークに減少。2005年には当初の核テナントだったジャスコ(現イオン)の撤退とともに他のテナントも撤退し、運営会社水沢中央ビルが民事再生手続開始を申し立て、水沢クロス開発が営業譲渡を受けた。

 水沢クロス開発は、リノベーション補助金などを受け大規模改修を実施し、06年4月にリニューアルオープン。再開後もテナント減少が続く状況は変わらず、21年度には暖房用ボイラーが故障し改修費用1300万円を市が補助。22年には前年比2倍以上となる電気料金の上昇が資金繰りをさらに圧迫。厳しい経営状況から閉店を決断した。

 10月に状況を把握した市は、再生や支援が民間企業活動への介入となる一方、メイプルが空き店舗となって市街地空洞化の象徴となり、市民マインドへの負の影響が計り知れないと懸念。庁内で検討し、対応策として二つの案をまとめた。

 市が主体となる再生策は▽メイプルと敷地を所有者から無償で譲り受ける▽水沢クロス開発が所有する財産の抵当権など物権の抹消に要する費用として債権額約2億7000万円を市が負担▽公共施設や公共的団体などの運営を継続▽市は維持管理費の低コスト化や防災力向上に必要な改修を行い、民間へ譲渡。公共施設の設置を検討―などの内容。

 一方、市の関与を極小化した策では「公共施設や公共的団体の移転先を確保」「必要に応じて市が移転費用を負担」「市の取得も含め民間による活用を検討」するとした。

 市当局は「市が主体の再生策を優先」するとし、所有者との折衝、関係機関との調整に当たっている。また、再活用に向けて包括連携協定を締結している企業や市内の2高校との連携により、将来のまちづくりのイメージや街の活気を取り戻す具体策を作成。計画を基に民間企業や金融機関が具現化する基盤づくりを担うとしている。

 説明後、倉成淳市長は「市民のプライドを取り戻すには、市が当事者となって立て直すのが良いと判断した」とし、「ショッピングセンターとしての役割は既に終わっている。非効率な部分を無くし最小化する方向で進め、人が集まりまちなかで使いやすいものとしたい」と語った。

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