北上・西和賀

新嘗祭に生産米奉納 八重樫さん「光栄」 東京大神宮、県内唯一【北上】

東京大神宮へ新米を奉納する八重樫さん

 北上市飯豊の兼業農家でNPO法人・東北どまんなか理事長の八重樫哲哉さん(63)は、東京都の東京大神宮で23日に開催される新嘗祭(にいなめさい)に初めて新米「銀河のしずく」の玄米30キロを奉納する。土壌、水質、米質ともに優れた機能性玄米として全国トップクラスと高く評価され、県内で唯一、推薦を得た。八重樫さんは「格式の高い神社に奉納でき光栄」と語り、良質米生産へ意欲を新たにしている。

 八重樫さんは全国規模のコンクール、大会で最高賞を含む数々の上位入賞実績を誇る。2021年からは疾病予防、治療に向けた食事療法にも用いられる機能性玄米に取り組み始めた。

 春の田植え前、夏の出穂前、秋の稲刈り後の年3回土壌を調査し、その数値結果を踏まえ、微生物が増える土壌作り、栄養度のアップに向け必要な有機肥料を使用。より良い土壌作りへ試行錯誤を重ねてきた。

 水田の四隅には炭を置いて水を浄化させ、苗づくりでは育苗の際にクラシック音楽を聴かせたり、田植え時に苗の間隔を空ける「疎植」にも取り組んだりしてきた。

 医学博士らが所属し、機能性の高いコメを追求しているメディカルライス協会(東京都)は「有機性が高く、素晴らしい土壌で作られた」と高く評価。同協会の推薦もあり、東京大神宮への奉納が決まった。

 東京大神宮でコメが奉納されること自体が今回初めてで、限定の御朱印と共に参拝客に配られる。東北では八重樫さんと山形県内の生産者の2者、全国では一定の基準を満たした13者と同協会の計14者のみ。八重樫さんは「ひと味もふた味も違う米作りに取り組んできたことが評価され、恐縮している。格式が高い神社に選定いただき、非常に光栄でありがたい」と喜ぶ。

 23日に都内の戸越八幡神社で開かれる新嘗祭にも、新米の「はえぬき」玄米30キロを奉納。こちらも全国の名だたる農家のコメのみがそろい、これで18年以来5年連続の奉納となる。八重樫さんは両神社の新嘗祭に出席し、良質米生産へ全国の農家との情報交換を楽しみにしているといい「より一層研鑚(けんさん)を重ね、来年もいい水で良い土壌作り、いい苗作りに努めたい」と決意を示している。

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