表現活動の伝統刻む 閉校記念碑除幕 木細工小【奥州】
2022年度で閉校する奥州市江刺の市立木細工小学校(川越浩子校長、児童5人)で19日、閉校記念碑除幕式が行われた。地域の人たちに見守られ、表現活動が育まれていることを表し、「小さな詩人たち」との文字が刻まれている。除幕後には出席者が校歌を歌ったり、シャボン玉を飛ばしたりして末永く思いがつながっていくことを祈った。同校では23年3月12日に閉校式典を行う。
閉校に向けて記念事業実行委員会(菊池亮実行委員長)が記念事業を計画しており、記念碑建立もその一つ。同日は児童や教職員、地域の人たち約50人が出席した。記念碑は団体からの寄付や全世帯からの協賛金などで制作、建立。幅106センチ、高さ88センチで、幅130センチ、高さ30センチの台に載せられている。
菊池実行委員長は「木細工小といえば詩や作文などで全国に知られる活動を行ってきた。地域みんなの思いを込めた記念碑は、桜の木の下で長く建ち続ける。閉校後も思いをつないでもらいたい」とあいさつ。
除幕では、記念碑建立に寄付した山林原野管理会、米里振興会など地域の関係者、川越校長、児童が幕につながったリボンを引いた。「小さな詩人たち」の文字と校歌が刻まれた碑が現れると出席者から拍手が湧き上がった。
児童と出席者が校歌を歌い、「ありがとう」の掛け声とともに出席者が「感謝のシャボン玉」を飛ばし、記念碑周辺を七色に彩った。
同校5年の菊池由佳莉さんは全校5人の書いた文字を組み合わせた「小さな詩人たち」について、「みんなで書いた字がいつまでも残るのはうれしい」とし、「新しい学校ではたくさん友達をつくりたい。そして自分たちが木細工でつくってきた伝統や思い出は大切にしていきたい」と話していた。
川越校長は「詩や作文といった表現活動に力を入れ、地域ぐるみで教育活動を支えてもらっている。小さな詩人はそれを表すのに最もふさわしく、後世に残したいもの。これからも見守ってもらいたい」と語っていた。
同校は1873年に開校し、149年で約1500人の児童が巣立っている。今年度末で閉校し、江刺東部地域の4校と統合し、23年度から江刺ひがし小学校となる。