銀河ぽっぽ 31年ぶりの輝き からくり時計修復完了 なはんプラザ【花巻】
JR花巻駅前にある花巻市定住交流センターなはんプラザのからくり時計「銀河ぽっぽ」が、31年ぶりにリニューアルされ、19日夕に市民にお披露目された。長年にわたり多くの人に親しまれてきたが、2021年夏に文字盤の扉が故障するなどし、今年5月から進めていた修復作業が完了。関係者は次代に引き継がれ、末永く愛されることを願った。
宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」がモチーフのからくり時計は、同センターが開館した1992年、北口玄関に設置された。1時間ごとに賢治作曲の「星めぐりのうた」をアレンジしたメロディーとともに、時計の下からジョバンニとカムパネルラが登場すると、4枚の扉が開き、時計内部を銀河鉄道の列車が周回し、登場人物を模した人形の目を覚ましていくという演出で、夜には時計の上に星空が輝く。
足を止めて見入る駅利用客や同センター利用者など多くの人から愛されてきたが、昨年8月に文字盤の扉の一部が動かなくなった。
リニューアルは、31年前に施工した精工舎(現セイコータイムクリエーション)が手掛けた。1枚80キロにも及ぶ扉を4枚全て取り外し、人形や歯車の装飾部品、基盤部品を東京の作業場に運び込んで修復作業を行った。
精密なモータで人形の滑らかな動作を実現し、明るさや光色を調節できるLED(発光ダイオード)照明を採用。人形の動きから光の演出、扉の開閉まで細かくプログラムで制御されている。
19日は午後5時の演出に合わせてお披露目イベントが行われ、市民はもとより京都府や愛知県など県内外から駆け付けたファンが参加して、修復後初の演出を楽しんだ。修復を手掛けたディスプレーデザイナーの妹尾大介さんらによるトークショーもあり、修復前後の写真や映像を交えながら、演出の見どころや製作エピソード、時計の裏側などについて語った。
同センター指定管理者・元来社代表取締役で館長の佐々木和久さんは「多くの人の協力があって修復できた。次の世代につないでいきたい」と話していた。
からくり時計は、午前10時~午後10時の毎時0分の約1分前から動き出す。演出時間は約4分30秒。