衣川・黒滝、国見平温泉 今年度で営業休止 奥州市 地元と活用協議へ
奥州市は25日、同市衣川地域の黒滝温泉、国見平温泉について2022年度末で営業を一度休止する方針を示した。民間事業者を対象に行った意向調査で、23年度以降に指定管理や譲渡を受ける意向が示されなかったことを踏まえたもの。23年度中に両温泉の地元と地域活用について協議する考えで、その間は必要最小限の維持管理を行う。市では「残念ではあるが、いったん休止する判断をした。活用について地域と丁寧に検討したい」としている。
同日開かれた市議会全員協議会で明らかにした。
同市には市町村合併前に設置され、運営を引き継いだ日帰り温泉が3施設(前沢、黒滝、国見平)ある。このうち前沢は現在指定管理者制度で運営されているが、黒滝、国見平は直営。今月に入って成案化された「日帰り温泉の民間移譲に向けた基本方針」では、前沢について「24年度からの民間譲渡を目指す」とし、黒滝、国見平は「民間譲渡を見据え、23年度から2、3年程度の指定管理による運営を目指す」とした。
この基本方針に基づく意向調査を、9月1~15日に市内業者を中心に、10月7~27日にはウェブ広告などを通じて実施。黒滝、国見平両温泉について譲渡を受けて運営、または指定管理を受託する意向はないか尋ねた。回答があったのは9月の調査での8社のみ。指定管理への応募の可能性など運営意向を示した事業者はなかったという。
市は今月15日に衣川地域会議で意向調査の結果を報告。28日には振興会長会議で一度休止の方針について説明する。市の会計年度任用職員となっている温泉従業員21人には12月5日に説明し、再就職を支援する。来年度は今後の施設活用策を地元と協議する。市としての施設の維持管理は来年度で終了し、24年度以降は行わない考えだ。
奥州市議会12月定例会は25日、開会した。初日は会期を12月13日までの19日間と決め、請願1件を総務常任委員会に付託、2022年度一般会計補正予算案など議案47件が提出された。
26~28日は休会し、29日に本会議を再開。佐々木友美子(奥州みらい)、菅原明(共産党)、藤田慶則(奥和会)、阿部加代子(公明党)、小野寺満(奥和会)の5氏が登壇して一般質問が行われる。