北上・西和賀

災害時も快適生活提供 北良 発電、上下水道設備搭載 「シーテック」で部門最高賞 トレーラー型居住空間【北上】

北良がシーテック2022に出展した「WHOLE EARTH CUBE」
髙橋市長(右)にシーテックアワードのパートナーズ部門グランプリ受賞を報告した北良の笠井社長(中央)ら

 10月に開催されたアジア最大級規模を誇るデジタル技術の総合展示会「シーテック2022」で、北上市和賀町後藤のガス製造・販売北良(笠井健代表取締役社長)が出展したトレーラー型の居住空間「WHOLE EARTH CUBE」がパートナーズ部門のグランプリに輝いた。電線や上下水道などの既存インフラを必要とせず、災害発生時などに快適で安全な生活を提供できる。笠井社長は「自分たちが取り組んできたことが、社会全体でも課題となっていることを確認できた」と受け止める。

 「WHOLE EARTH CUBE」は、災害発生時、医療機器が必要な在宅患者の暮らしを守ることなどを目的に開発。太陽光やガスによる発電システム、雨水を循環再生する浄水場・下水処理場、灯油タンクなどを搭載し、冷暖房やシャワー、水洗トイレ、家電などが使える。

 木造による高気密・高断熱で防音性も高く、トレーラー輸送などで素早く移動できる。

 千葉市の幕張メッセで3年ぶりに開催されたシーテックでは、関連技術を開発する企業との共同出展として実物を展示・紹介。

 学術的、技術的観点や将来性などを審査・表彰するシーテックアワードのうち、多様な産業・業種の企業の連携による先進性や社会貢献性を評価するパートナーズ部門で最高賞に選ばれた。

 笠井社長は25日、北上市役所を訪れて髙橋敏彦市長にグランプリ受賞を報告。インフラのない場所や災害発生時の避難所として災害弱者を収容できる各種機能や、東京都の利島で23年度から試験導入されることなどを説明した。

 笠井社長は「社会の課題を解決しようと解決策をつくったときは、目に見える形で世の中に問い掛けることが大事。採算や市場、法律を適用できるかなどの問題があったとしても、自分たちがまず、物を造るというアプローチが生産的だと思う」と語った。

 髙橋市長は「受賞はおめでたい。取り組みがだんだんと現実味を帯びている。われわれも真剣に考える時期になっており、さまざまな情報、協力を頂ければありがたい」と話していた。

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