一関・平泉

周囲への感謝つづる 大東・京仏師 石川さんが自費出版【一関】

自費出版した冊子「佛師の眼から見た佛様のお姿」を手にする石川さん

 一関市大東町渋民の京仏師石川昇明(本名完二)さん(63)は、冊子「佛師(ぶっし)の眼から見た佛様(ほとけさま)のお姿」を自費出版した。これまで手掛けた仏像の意味や制作をめぐるエピソードなどをまとめたほか、自らの半生を振り返り、生涯の恩人との出会い、父親の京仏師佐久間白雲さんの生きざまなどもつづった。石川さんは「いろんな人に助けられ、生きてきたとつくづく感じる」と感謝の気持ちをかみしめながら冊子を手にする。

 冊子は石川さんが2020年に行った講演会の内容に補筆、加筆して編集。A5判、86ページで、「私を導いてくれた三人の出会い」のサブタイトルを付けた。

 「子安観音」「虚空蔵菩薩(ぼさつ)」「聖観音菩薩」など2001年から作り続けた仏像の技法や仏像が持つ意味、功徳のほか、制作にまつわるエピソードなどをつづり、巻頭に手掛けた仏像のカラー写真を掲載した。

 そのほか、京都での厳しい修行生活や帰郷して独立した当時の苦労、3人の恩人との出会い、父親の生きざまなどにも触れている。

 石川さんは佐久間さんの次男として同町渋民に生まれ、高校卒業後仏師の道を志し、1977年京都に出て修行。20年余りの修行生活を経て99年に帰郷し独立。仏像の制作や修復を手掛けてきた。実兄は同町渋民の京仏師佐久間渓雲さん。

 2011年の東日本大震災直後はボランティアとして陸前高田市を訪問。津波でなぎ倒された高田松原の松を見て、地元の人の思い出の松で仏像を彫ろうと思い立ち、1年間他の仕事を投げ打って仏像17体を彫り同市内の寺などに寄贈した。仏師として名前が広まってきたが、9年ほど前に慢性膵炎(すいえん)を患い、現在は食事制限や治療を行いながら彫刻刀を握り続けている。

 随所に出てくるのは「仏様のお導き」という言葉と周囲に対する感謝の念。石川さんは「今の状態で動ける時間がそう長くないと考えた時、いろんな人に助けられ生きてきたことを実感した。そんなことを文字に残しておきたいと思った」と出版の動機を語り、「この本を通して仏様の功徳や意味なども多くの人に知ってもらえれば」と願う。

 冊子は同市大町の北上書房、同市大東町の小原書店などで販売する。定価2000円(税別)。問い合わせは石川さん=090(9636)8837=へ。

地域の記事をもっと読む

一関・平泉
2025年5月8日付
一関・平泉
2025年5月8日付
一関・平泉
2025年5月8日付
一関・平泉
2025年5月8日付