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「鬼剣舞」無形文化遺産に 24都府県41件「風流踊」 ユネスコが登録決定 発展へ大きな弾み

「鬼剣舞」を含む「風流踊」のユネスコ無形文化遺産登録が決まり、拍手で決定を喜ぶ関係者=30日午後7時2分ごろ、北上市役所

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は30日、モロッコの首都ラバトで開催されている第17回政府間委員会で、北上市と奥州市で伝承されている国指定重要無形民俗文化財「鬼剣舞」を含む全国41件の民俗芸能「風流踊(ふりゅうおどり)」の無形文化遺産登録を決定した。本県では4件目の無形文化遺産登録。各民俗芸能団体にとって少子高齢化、担い手不足で継承が課題となる中、本県民俗芸能の保存継承、発展へ大きな弾みになりそうだ。【13面に関連】

 登録が決まったのは、岩崎鬼剣舞保存会、滑田鬼剣舞保存会(以上北上市)朴ノ木沢念仏剣舞保存会、川西大念佛剣舞保存会(以上奥州市)で構成する鬼剣舞連合保存会の「鬼剣舞」のほか、「永井の大念仏剣舞」(盛岡市)など全国24都府県の41件。

 北上市役所では午後5時30分ごろから北上、奥州両市の関係者や「鬼剣舞」構成団体の代表ら約20人がパブリック・ビューイングで現地の審議を見守った。風流踊について「地域に根付いた素晴らしい文化。世代から世代へと受け継がれている」と紹介され、午後7時すぎに登録決定すると拍手で喜びを分かち合った。

 決定後の記者会見で、鬼剣舞連合保存会の和田勇市会長(岩崎鬼剣舞庭元)は「本当に皆さん方のおかげ。われわれ4団体もこれから郷土芸能、無形文化遺産を若い連中に伝え、未来につないで頑張っていきたい」と保存継承へ決意を新たにした。

 風流踊の起源は中世に由来。衣装や持ち物に趣向を凝らし、笛や太鼓などではやし立ててにぎやかに踊ることで災厄を払い、死者を供養し安寧な暮らしを願う共通の特徴を持つ。鬼剣舞の起源は約1300年前にさかのぼり山伏・役行者が天下泰平、五穀豊穣(ほうじょう)、鎮魂のために舞った念仏剣舞が始まりとされる。いかめしい面をつけて踊るが、鬼ではなく仏の化身で、面には角がないのが特徴だ。

 政府は「風流踊」をまとめて一つの遺産とみなし2020年にユネスコに登録申請したが、登録件数の多い日本の審査が先送りされ21年に再提案。今秋、無形文化遺産保護条約政府間委員会の評価機関が「登録」を勧告していた。

 今回の登録決定で、本県のユネスコ無形文化遺産は花巻市大迫町の「早池峰神楽」(09年)、大船渡市三陸町のスネカなどを含む「来訪神 仮面・仮装の神々」(18年)、二戸市の日本うるし掻(か)き技術保存会の漆生産・精製技術を含む「伝統建築工匠(たくみ)の技」(20年)に続く4件目となる。

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