住民待望、通行再開 国道107号 道の駅錦秋湖にぎわう【西和賀】
斜面崩落の恐れがあるとして、2021年5月から続いた西和賀町内の国道107号の通行止めが30日、解除された。沿線にある道の駅錦秋湖も約1年7カ月ぶりに営業を再開。解除に合わせ、早速国道や道の駅を利用する人たちの姿が見られ、関係者は安全な通行や観光を含む地域活性化などに期待を寄せた。
町内の国道は、21年春の地震をきっかけに一部で斜面変状が確認され、道の駅から県道ゆだ錦秋湖停車場線との交差点付近まで約4・9キロ区間で通行止めの措置が取られてきた。交通確保として、地滑り箇所を迂回(うかい)する形で錦秋湖を横断する仮橋が建設され、同日使用を開始した。国道と県道ゆだ錦秋湖停車場線をつなぐ仮橋は橋梁(きょうりょう)部の長さ470メートル、幅員6メートルの交互通行。吹雪などで見通しが悪い場合やスタックなどの恐れがある際は通行を規制する。
道の駅付近の国道は、通行止めが解除される午前11時前に車列ができた。先頭の山岡功さん(55)=秋田県横手市安田原町=は「花巻で用足しした帰りに使ってみようと思って来たら、一番乗りでびっくり。道の駅もよく利用していたので、これからも立ち寄りたい」と笑顔を見せた。県南広域振興局北上土木センターの及川郷一所長は「積雪期前に予定通りに解除でき、ひと安心している。適正に管理するとともに、トンネル化による本復旧に向けて早期着手、早期完成を目指していく。国道、仮橋を利用する方には、冬タイヤの装着や時間に余裕を持った通行をお願いしたい」と語った。
通行止め解除に続いて西和賀町杉名畑の道の駅もオープンし、野菜や特産物、町内クラフト作家の作品を購入する人、振る舞われた納豆汁を味わう人などでにぎわった。運営する西和賀産業公社代表取締役社長の内記和彦町長は「西和賀の商品を県内の他の道の駅で売っていただくなど、さまざまな方の支えのおかげで再開できた。以前にも増して情報や物産の発信に努めていきたい」とあいさつ。店内には県立西和賀高校美術部がイラストオーナメントを作成した「おもてなしのにしわがツリー」が飾られた。
食材などを購入した同町川尻の髙橋智貴さん(78)は「北上に行った帰りはここでご飯を食べていた。また使うことができてうれしい。町外の人には、国道から四季の景色を見に来てもらいたい」と話していた。
通行止め解除に伴い、代替路として秋田道北上西インターチェンジ(IC)―湯田IC間で行われていた通行無料措置は終了した。