アイ・テック 北上進出 後藤野工業団地 分譲率95・5%に
鉄鋼加工販売大手のアイ・テック(本社静岡市、資本金39億4882万円、大畑大輔代表取締役)は、北上市和賀町の後藤野工業団地に進出する。投資額は約80億円余りで、東北の事業拠点となる見込み。これで同団地の分譲率は95・5%に達し、市は残る土地も早期分譲に努める。
1日の市議会12月通常会議で、同社に同団地の9・28ヘクタールを5億2800万円で売却する土地処分の議案を全会一致で可決した。
同社は1960年設立。一般鋼材や鋼板、鋼管、鉄鋼二次製品等の加工販売をはじめ、鉄骨建築請負、鉄骨橋梁(きょうりょう)建設、土木・建築工事などを展開し、高精度の鋼材加工技術による製品を全国で提供している。
市議会に提示された内容によると、同団地に建設する工場、建物の延べ床面積は3万5581・60平方メートルの予定で、2024年10月の操業を見込む。総投資額は82億6100万円。従業員規模は40人の計画。同社は進出理由を「東北での事業展開のため」としている。
同団地は、数年かけて15年度に拡張整備を完了した約30ヘクタールを合わせ総面積140・4ヘクタール。秋田道北上西インターチェンジから約4キロと近い立地で企業進出が相次いでいる。
さらに、同団地に立地する合板製造業北上プライウッドは従来の敷地8・1ヘクタールから約2・6倍の21・5ヘクタールに大幅拡張する計画。電子部品大手のTDK子会社のTDKエレクトロニクスファクトリーズ北上工場も総投資額500億円で新製造棟の建設に着手し、23年内の完成を目指すなど、立地企業の事業拡大の動きも目立っている。
アイ・テックの進出で同団地の残る分譲地は5ヘクタールとなり、市によると既に複数社の引き合いがあるという。高橋剛市商工部長は「幅広い業種、業態の企業に立地いただいている。今後も早期分譲へ、引き続き努力していく」と話している。
市内では企業立地ニーズはなお旺盛だが北上、北上南部の両工業団地、北上産業業務団地など主要な団地が既に満杯状態。市は北上工業団地を16・5ヘクタール拡張し、同市村崎野に北上北部産業業務団地約33ヘクタールの整備を進めている。