材料提供園児にお礼 キーホルダー贈呈 空き缶から鋳物技術で製作 水沢工高機械科【奥州】
奥州市の県立水沢工業高校(日當仁己校長)の機械科課題研究「SDGsキーホルダーを作ろう!」のメンバーは19日、同市江刺の幼保連携型認定こども園「稲瀬わかば園」(有住百香里園長)を訪ね、園児が集めた空き缶を原料にしたアルミ鋳物のキーホルダーをプレゼントした。メンバーはSDGs(持続可能な開発目標)ついての寸劇や製作過程の動画を披露し、園児たちと交流を深めた。研究のリーダー菊地駿太さん(18)は「予想以上に園児が喜んでくれた」と感激し「いろいろな人に手伝ってもらって完成できたことで、ものづくりの喜びがより大きくなった」と語っていた。
同校では3年生が小グループに分かれて課題研究に取り組んでおり、このうち「SDGsキーホルダーを―」は6人で構成。奥州めぐみネットと市生活環境課の関係者による授業でSDGsへの理解を深めた上で、水沢鋳物工業協同組合、及富から鋳型デザインや鋳造方法についてアドバイスを受け、ミズサワセミコンダクタの協力を受けて原型を造形、同園には材料となるアルミ缶を集めてもらった。
メンバーは園児からアルミ缶270リットル相当を引き受ける際、「クリスマス前にキーホルダーをプレゼントする」と約束しており、同日は日當校長、活動を担当した実習教諭の松川勇太さんと共に出前授業として訪問。85人の全園児が寸劇と動画を見て、17色に彩色されたキーホルダーを受け取った。
寸劇は、メンバーがクラゲと間違えてポリ袋を食べてしまった魚、山の中に空き缶などのごみを捨てられて困っているクマに扮(ふん)して演じた。クマから「空き缶を拾ってきてくれないか」と頼まれた年長のめろん組の園児20人が、ホールのあちこちに置かれていた缶を集めてクマに届けた。
メンバーからキーホルダーを受け取った園児は全員で「SDGsを教えてくれてありがとうございます」と声を合わせて感謝した。同組の伊藤琉唯ちゃん(6)は「キーホルダーをもらってうれしかった。缶とは色が変わっていてきれい。どう使うかは今考えているところ」と話していた。
菊地さんは「本当にできるのか不安もありながらスタートしたが、いろいろな人たちが手伝ってくれて出来上がったのは自分たちにとって大きいこと」と活動を振り返り、「キーホルダーを受け取った園児たちが予想以上に喜んでくれたのがうれしかった」と取り組みの手応えを感じていた。