北上・西和賀

大学設置 検討会議が初会合 北上市 来年5月にも方向性

 北上市は4年制大学などの高等教育機関設置に向け、外部委員による「大学等設置検討会議」を設置し20日、市役所で初会合を開いた。各界の委員からは少子化や財政面などで懸念も出されたが、人材確保などの面から賛意や期待感が示された。市は2023年2月に再度会議を開き、意見を踏まえた上で同年5月にも新市長の下で大学設置の方向性を判断する。

 順調な企業集積で人材確保が課題となる中、市は21年度、内部の近未来政策研究所(所長・及川義明副市長)で研究を重ね、産業集積や20歳代後半の社会増、都市部からのアクセス環境、住みよさから学生や研究者が住むポテンシャルがあると分析。今年度は市内部に検討本部を設け先進地視察など調査を進め、検討会議委員の意見を今後の意思決定の参考とする。

 委員は県内の民間企業、商工経済団体、高校のトップと大学副学長の6人で構成。代表して新宮由紀子氏(長島製作所社長)が及川副市長から委嘱状を受けた。及川副市長は「30、40年前から大学設置が必要との声はあったが、莫大な資金など懸念事項があり検討に入っていけなかった。当地域にものづくりの大型工場進出があり、現場から地域での人材確保の声が盛んに出るようになり、ぜひ実現していきたい。専門的知見で忌憚(きたん)のない意見をお願いしたい」とあいさつした。

 市側は県南部の事業所を対象に実施したデマンド調査の結果、大学新卒者の需要が高まり、求める人材の専攻分野は機械、情報系が多かったことを報告。大学が設置された場合▽人材確保の機会増▽まちの活力アップ▽若年層の流出抑制▽消費拡大―などへの期待感が示されたとし、その後非公開で協議した。

 終了後、事務局の市政策企画課によると委員から大学設置に否定的な意見はなく、必要性を理解し「企業は常に人材不足だけに期待感がある」との声が出た。一方、総論では賛成だが少子化で全国の私立大も淘汰(とうた)される中、採算面や財政面への懸念や、「他大学との差別化を図り、北上らしさを出す必要がある」との指摘もあったという。

 市は、活況を呈している半導体や自動車関連などの産業を下支えし、ニーズの高いものづくり人材育成を軸に、不足するIT・デジタル人材育成も視野に市立大学設置を含め検討。公立大や私立大誘致の可能性も探りつつ大学設置時の候補地や学部、定員などについても調査している。

 仮に市立大設置となれば教育課程決定や許認可、施設整備などに最低5、6年を要し、目安として最短でも開学は28年度の見通し。

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