時の太鼓 若さで牽引 新曲作りも挑戦 顕彰会長に和泉さん(25)【一関】
江戸時代に一関藩で設置されていた時の太鼓を継承する一関市の太鼓団体「時の太鼓顕彰会」の新会長に、和泉拓磨さん(25)が就任した。栁橋信行前会長に代わって今後は同会を牽引(けんいん)する立場となり、新たな曲作りにも意欲的で「失敗してしまうかもしれないとおびえる部分もあるが、挑戦していく」と決意を示している。
時の太鼓は江戸時代、城下町に時刻を告げるため、一関藩が幕府から特別に許可を得て毎日正午などに打ち鳴らしたとされ、藩医建部清庵と共に「一関に過ぎたるものは二つあり」と評された。当時の太鼓は同市真柴の長昌寺に所蔵されており、東北新幹線開業を祝い1983年に製作された2代目時の太鼓はJR一ノ関駅に展示されている。
同会は1975年に一関青年会議所有志によって時の太鼓市民の会として発足。82年に現名称に改め、一関夏まつりでの2代目時の太鼓大巡行など各種イベントで演奏を披露している。現在の会員は50人ほどで、週2回3~4時間練習に励んでいる。
和泉さんは県立一関二高入学後に太鼓道場部に入るとともに「他の人に差をつけて抜きんでたい」と意気込んで同会にも入会した。高校時代は基本的に部活動を中心に取り組んでいたが、卒業後は同会での活動を本格化。「先輩たちから、面を広く使うところなど技術を学んだ」と語るように、めきめき実力を磨いてきた。2019年に副会長となり、今回は若い人に会を託したいという思いが込められ、8代目会長に今月就任した。
18日には2代目時の太鼓の清掃作業に合わせて引き継ぎが行われ、会員を前に会長が着用するはんてんなどが手渡された。
相談役となった栁橋前会長は、和泉さんが所属していた一関二高太鼓道場部との今後のつながりに期待しながら「今までにない曲の雰囲気など、新しいものを生み出してもらいたい」とエールを送る。
和泉さんは「25歳でまだ自分自身がどういうものを目指していけばいいか分からない部分もあるが、壁が立ちはだかったとしても、支えてくれる先輩たちを頼りつつ、やりたいことをやっていきたい。いろいろな演奏形態、曲調、新しいスタイルにも挑戦していければいい」と語っている。