飛躍の卯年へ 期待込め年越し
2022年もきょうを残すのみとなった。新型コロナウイルスの感染状況が拡大と沈静を繰り返す中、ワクチン接種、治療薬開発が進み、次の局面に進んだともいえる。感染対策に気をつけながら県南地方の小中高生による全国を舞台にしためざましい活躍もあった。
この3年、新型コロナが取り上げられない日はない。特に今年は新規感染者数が過去最多を更新し、死者も連日報告されている。
ただ、当初は「未知のウイルス」として恐れる一方だったが、感染対策のノウハウを積み重ねて知見を深めた。感染が沈静化したこともあり、各地の夏祭りや秋の文化祭、発表会が復活。本紙でも「3年ぶり」の文字が踊った。新年も大きな催し、祭典の予定が目白押しとなり、「ウィズコロナ」時代に入った感がある。
2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、新型コロナの影響による生産活動の低下などと相まって、エネルギーや資材の価格高騰につながった。記録的な円安が追い打ちとなり、輸入に頼る日本では、全ての物の価格が上がる状況。県南地方でも肥料や原料、資材の価格高騰の影響は深刻で、農業、工業、商業あらゆる分野に打撃を与えている。
暗い影を落とす出来事もあったが、2月の北京冬季五輪での県関係者の活躍は人々に笑顔をもたらした。ノルディックスキー・ジャンプ男子の小林陵侑選手(八幡平市出身)が個人ノーマルヒルで金メダル、ラージヒルでも銀メダルを獲得、一関市出身のスノーボーダー岩渕麗楽選手は2大会連続入賞を果たした。奥州市出身の大リーガー大谷翔平選手の投打にわたる活躍は国民の感動を誘った。
県南地方の小中高生も全国の舞台で力を発揮。北上市の黒沢尻北小学校音楽部は二つの全国大会で最高賞、同じく上野中吹奏楽部は全国大会で金賞に輝いた。水沢商業高校の商業研究、水沢高校3年の阿部なつみさんの俳句も全国で高い評価を得た。
11月には、北上市と奥州市に伝承されている国指定重要無形民俗文化財「鬼剣舞」を含む全国各地の民俗芸能「風流踊(ふりゅうおどり)」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録が決定し、関係者が喜びに沸いた。
今年は県南3市町で首長選が行われた選挙イヤー。1月の花巻、3月の奥州の両市長選では、現職と新人が一騎打ち。花巻は現職上田東一氏、奥州は新人倉成淳氏が当選を果たした。3月の金ケ崎町長選では、髙橋寛寿氏が新人同士の戦いを制し初当選。
22年は久しぶりに行動制限のない年末となり、帰省客もコロナ禍前に近い動きが見られる。来たる23年は卯(う)年。それぞれが飛躍できる年となるよう祈る。