北上・西和賀

一大生産拠点 年内完成へ 北上 波及効果に期待 キオクシア第2製造棟 TDK新製造棟

年内の完成へ工事が進むキオクシア岩手第2製造棟。巨大な建物が姿を現している=北上市・北上工業団地内

 北上市の北上工業団地に立地する半導体大手子会社・キオクシア岩手(柴山耕一郎社長)の第2製造棟は、2023年内の完成に向けて着々と工事が進められている。一方、同市和賀町の後藤野工業団地では電子部品大手子会社・TDKエレクトロニクスファクトリーズ(本社秋田県由利本荘市、林隆司社長)北上工場の新製造棟も今年末の完成が見込まれる。ともに一大生産拠点となり、市内外の雇用、経済に大きな波及効果をもたらしそうだ。

 キオクシア岩手の第2製造棟は、現在3次元フラッシュメモリを生産している第1製造棟東側15ヘクタールで22年4月に着工。今年後半の完成が見込まれている。総投資額は1兆円規模で、第1製造棟と合わせた生産規模は2倍程度となる見通し。

 第1製造棟より高層となる7階建ての高さ66メートルで、生産ラインを第1製造棟と連結し、世界最高水準の生産システムを導入。管理部門と技術部門が入る地上13階、地下1階の管理棟も併設し、約2000人規模の執務スペースを設ける。

 世界的物価高などによるフラッシュメモリ市場の減速で、昨年10月から生産量を3割減産。第2製造棟の建設自体に影響はないものの、完成後の稼働時期についてキオクシア本社広報は「市場動向を見ながら決定していく」としている。

 TDKエレクトロニクスファクトリーズ北上工場は、敷地内に新製造棟を建設。電気自動車(EV)向けに世界的需要が高まる電子部品・積層セラミックコンデンサーの生産体制強化へ、当初の予定を大幅に前倒しして昨年8月に着工した。

 新製造棟は鉄骨造り一部4階建て。生産能力は由利本荘市の本社工場と北上工場を合わせ、既存施設の1・9倍(20年比)に増強する。総投資額は約500億円で、TDKの電子部品増強に向けた投資として過去最大規模。12月の完成、24年早期の量産開始に向けTDK秋田・庄内総務部広報課は「順調に推移している」と強調する。

 キオクシア岩手では現在、正社員、派遣社員含め2000人が働き、今春には新規学校卒業予定者約200人を採用する。TDKエレクトロニクスファクトリーズ北上工場の現従業員(契約社員等含む)は約1100人で、23年度から3年かけて400人増の1500人規模とする計画。一方、北上市など県南部の各企業は新卒者を中心に採用意欲が高く、今後さらに人材獲得競争は激しさを増しそうだ。

 特にキオクシア関連は同市と近隣自治体に関連企業進出が相次ぎ、新規住宅建設ラッシュが続く。宿泊施設やタクシーの需要も好調に推移する一方、第2製造棟が稼働すればこれまで以上に通勤時間帯の交通渋滞が予想される。市などは周辺市道の3車線化、環状交差点整備を行い、信号機新設、右折信号機増設を県に求めている。

地域の記事をもっと読む

北上・西和賀
2025年5月1日付
北上・西和賀
2025年5月1日付
北上・西和賀
2025年5月1日付
北上・西和賀
2025年5月1日付