墨塗り合い健康祈願 3年ぶり「カラスの小正月」 三熊野神社【花巻】
花巻市東和町北成島の三熊野神社(伊藤幸夫宮司)で9日、顔に墨を塗り合う小正月行事「カラスの小正月」が3年ぶりに行われた。地元の子供たちやその保護者らが顔を真っ黒にして、境内に元気いっぱい声を響かせ、今年1年の健康と無事を願った。
カラスの小正月は、同社の神紋「二羽烏(からす)」に由来する。古くから伝わる魔よけの風習で、戦後に途絶えた時期もあったものの住民有志によって復活。家々から持ち寄った正月飾りや古神札をたく「どんと祭」に合わせて行われてきたが、ここ数年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止されていた。
3年ぶりの実施となった同日は、北成島と南成島両子供会の小学1~6年生とその保護者ら約30人が参加。年頭祈願に続き、積み上げた正月飾りに火を入れた後、墨筆を手にした参加者がこっそりと近づき、墨の塗り合いが始まった。
子供たちは友達や保護者、参拝者にも筆先を向け、1年生の時に体験して以来だという東和小4年の川村夏菜さん(10)は「塗るのも塗られるのも楽しい」と笑顔を見せ、「早くコロナがなくなってマスクを気にすることなく友達と遊べるようになれば」と願った。15歳の娘と11歳の息子がいる安藤直司さん(49)は「コロナ禍でしばらく行事ができなかったが、とても楽しそうで良かった。健康に育ってくれたらうれしい」と子供たちの様子に目を細めていた。