毛越寺 所作や手順入念確認 「延年の舞」総稽古 二十日夜祭奉納【平泉】
平泉町の毛越寺(藤里明久貫主)常行堂で営まれる二十日夜祭で奉納される「延年の舞」総稽古は14日、同寺で行われ、舞い手となる一山の僧侶や児童が6日後の本番に向けて所作や手順などを入念に確認した。
同寺に伝わる延年の舞は国重要無形民俗文化財に指定された古式ゆかしい歌舞で、常行堂内に祭られている摩多羅神(またらじん)の祭礼が結願(けちがん)する1月20日の二十日夜祭で常行三味供(じょうぎょうざんまいく)の修法に続く法楽として奉納されている。
今回は「田楽」「唐拍子」「祝詞(のっと)」「花折」「老女」「若女・禰宜(ねぎ)」の6番が奉納されることになり、総稽古には一山の僧侶のほか、同寺壇信徒や黒石寺(奥州市水沢)から児童5人が参加。稽古では一連の所作を通した後、藤里貫主らから直接指導を受けた。
桜の枝を肩にした後、扇子を手に2人向かい合って緩やかに舞う花折に臨む松島和久君(12)=平泉小学校6年=は「コロナの影響で思うように稽古ができなかったが、参加するのは今回が最後になると思うので、本番までに不安な部分をきちんと覚えたい」と語った。
今回の二十日夜祭は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため前年に続き常行講信徒らの献膳行列や、たいまつをぶつけ合う勇壮な火たきのぼり、蘇民袋の争奪戦など堂外での行事を中止。午後3時からの献膳式で常行堂本尊の阿弥陀如来に花献膳、奥殿の摩多羅神に野菜献膳をそれぞれ奉納後、慈覚大師伝来による古式の法要が営まれ、8時から延年の舞を奉納する。堂内への参拝者の入場および写真撮影は禁止される。
平泉町の毛越寺は、常行堂二十日夜祭が行われる20日に堂内に祭る摩多羅神(またらじん)の御朱印を限定で授与する。
摩多羅神は同寺を開いた慈覚大師円仁が唐から帰国する船中で感得した神で、念仏の守護神や五穀豊穣(ほうじょう)をもたらす農作物の神として古くから信仰される。
御朱印は二十日夜祭開催時間に合わせて授与するもので、法要「常行三昧供(じょうぎょうざんまいく)」で僧侶に配る札に使われる牛王宝印(ごおうほういん)を模した印が押された紙札限定。午後1時から9時ごろまで常行堂札所にて朱印料1枚500円で受け付けるが、御朱印帳への揮毫(きごう)はできない。
問い合わせは、同寺事務局=0191(46)2331=へ。