一関・平泉

作柄占い明暗

わらを燃やしてかゆを炊き、今年の天候や作柄を占った御例神事
毛越寺常行堂の作様で木箱を振ってくじ棒を取り出し作柄を占う藤里貫主(中央)
一部努力も「良し」 藤沢・白澤神社「御例神事」

 一関市藤沢町西口地区で450年以上続く「御例(おためし)神事」は14日夜、地元の白澤神社(小野道教宮司)で行われた。稲作の様子を再現して豊作を祈念する神事が執り行われ、かゆ占いでは小野宮司から「天候的にはまあまあ。(作物は)若干努力が必要な品目も見受けられるが、全体的には作柄、天候も含めて良しと言える」との託宣が示された。

 同神事は、1月7日付近の日の夕刻に作物の出来などを占う「モノダメシ行事」と農耕の様子を模した所作を行う田遊び。鍋にコメ5合と約4センチの竹筒を20個入れ、わら一束を燃やしてかゆを炊き、竹筒の中に入った米粒の数によってその年の天候や作柄を占う。

 今年は「白澤神社筒粥の神事『おためし』保存会」の会員ら奉仕者約50人が参加し、笛や太鼓などを鳴らしながら西口コミュニティセンターを出発。同神社境内で、天候や作物の種類が書かれた竹筒とコメを一緒に鍋に入れ、かゆを炊いた。

 傍らでは奉仕者が「セーヤレ、セーヤレ、セーヤレナ」の掛け声とともに田植えや稲刈り、はせ掛けなどの作業を再現した。

 鍋を同センターに持ち帰り、竹筒の中の米粒を数えて9段階で判断した結果、天候は「日」が6、「雨」「風」が4、水稲は「早生」が5、「中手」が3、「奥手」が1だった。他の作物では「二度芋」「茄子(なす)」が7、「胡瓜(きゅうり)」「小菊」が5など。一方で「大根」「白菜」「リンゴ」「葱(ねぎ)」は1で、努力を要するとの結果となった。

 小野宮司は「努力が必要な作物もあるが、皆さんの団結力を持って克服し、豊作につなげてもらえれば」と奮起を促した。

 同地区では少子高齢化に伴い奉仕者が減っていたが、数年前に同保存会を結成。行事を地域で支える体制をつくり、奉仕者の確保を図るとともに、PRに取り組んでいる。同神事は「白澤神社のおためし神事」として市の無形民俗文化財に指定されている。

稲不作、麦は豊作 毛越寺「作様」

 平泉町の毛越寺(藤里明久貫主)常行堂で15日、2023年の農作物の作柄や気候を占う「作様(さくだめし)」が行われた。一山の僧侶11人が1年分の般若心経を唱えた後、藤里貫主がくじを引き作物ごとに占った結果、稲はわせとおくてを中心に例年にない不作。小麦や大麦は豊作と出たものの、天候不順も見込まれるなど心配される託宣を受けた。

 作様は、作物の神として信仰されてきた摩多羅神(またらじん)を祭る常行堂で五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する年頭恒例の行事。一から十までの漢数字が記されたくじ棒を入れた木箱を振り、引き出した棒の数字が大きいほど農作物の出来は良くなるとされている。

 11件を占った結果では、稲はわせが二分と極端な不作となり、なかては四分、おくても三分とそれぞれ不作。麦は小麦が八分、大麦も七分の豊作となった。

 豆類は大豆が二分と極端な不作で小豆は六分と平年並み。タバコも三分の不作で、蚕は春夏どちらも五分、秋は三分と全般に不作が見込まれる結果だった。

 このほか、番外で占った気候に関しては雨が八分で極端に多くなり、風は四分と平年並み。作様の結果に藤里貫主は「今年は全体的に悪く、中でも稲は極めて悪い。番外の気候でも雨が多くなると出ているので、稲作をはじめとする農作物の管理には十分に注意が必要となる。寺としても摩多羅神の祭礼結願(けちがん)となる20日まで祈祷(きとう)を続け、豊作に導いていただけるようお願いしていく」と語った。

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