奥州・金ケ崎

水沢陸上競技場と周辺 奥州市 新病院建設候補地示す

新総合水沢病院建設候補地とされた水沢公園の陸上競技場

 奥州市は16日、老朽化に伴い建て替えを検討している市立総合水沢病院の新病院建設候補地について「水沢公園の陸上競技場及びその周辺」を最適地として示した。「郊外」「市街地」「現地」の中から市街地を最適とした上で、アクセス面、ネットワーク型地域医療体制の中核、まちづくり拠点、コスト低減の観点から判断。今後は18日に始まる市政懇談会で、新病院を含めた市立医療施設の機能や在り方を示す「地域医療奥州市モデル」とともに市民に説明、意見を踏まえて方針を決める考えだ。

 同病院については、2021年度に市立医療施設の統合を行う方針を決めたものの市民理解が得られなかったとして撤回。その後は5医療施設の存続と、同病院の単独建て替えを進める検討を進めてきた。

 16日は市議会全員協議会で、同モデルと新病院建設候補地について説明。同モデルではネットワークをキーワードとし、「医療のネットワーク拠点とまちづくり拠点としての新病院建設」など四つの柱を示した。それを基に「地域包括ケアシステム」「へき地医療の提供」「医療施設間での機能分化と相互連携」「周産期サポート」などの機能、「医師の働き方改革」「持続可能な病院経営」といった取り組みを想定している。

 新病院建設候補地では、昨年末に示した三つのプランの中から市民から寄せられた意見も踏まえ、▽公共交通の利便性が良い▽にぎわいの創出や新たなまちづくりにつながる潜在的可能性が高い▽立地適正化計画エリアに建設することで国の補助活用が可能―として「市街地」を最適とした。

 さらに候補地としての絞り込みでは「利用者のアクセス面での利便性」「ネットワーク型地域医療体制の中核となり得る」「まちづくり拠点として多世代が集まる」「コストの低減」の観点で、水沢公園の陸上競技場を中心としたエリアを最適地とした。

 「利用者のアクセス―」では、公共交通(鉄道、バス)が充実し、国道、高速道路と近接して市内外からのアクセスが優れるとともに、広い駐車場、バスロータリーを設置できる十分な広さが確保できると理由を挙げている。現在の同病院の敷地は1万7400平方メートルで、候補地の陸上競技場は約2万平方メートルになるという。

 「ネットワーク型地域医療―」では「民間医療施設が集中し、県立胆沢病院とも近く、症状に応じた相互アクセスが容易」とし、「まちづくり拠点―」では「公園機能を活用でき多世代の利用しやすさ、にぎわいの創出が可能」ことを選定理由としている。また、「コスト―」では「市有地であり、土地取得費が発生しない」「立地適正化計画で誘導区域内に想定され、都市構造再編集中支援事業の活用が見込める」という。

 新病院の機能に加える考えは▽健康増進事業の実施▽在宅医療介護連携拠点▽周産期・子育てサポート機能▽デジタル拠点▽まちづくり拠点―の5点。

 病床では、地域の救急、感染症による医療崩壊を防ぐため救急患者受け入れと新型コロナ等感染者受け入れの機能を維持するとともに、胆江医療圏で不足している回復期病床への対応として回復期リハビリ病床を整備。病床数は、一般病床50床、回復期リハビリ病床50床、感染症4床の104床程度とする考え。

 新病院の診療科は現在の外来診療科(内科、小児科、外科、整形外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、精神科)を基本とし、地域で必要とされる診療科を運営する。

 同モデルは年度内に決定し、病院経営強化プランを23年度上半期に策定。その上で23年度内に新病院基本構想を策定し、24年度以降に基本設計・実施設計などを行う計画だ。

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