日曜、温泉で名調子 黒滝、国見平 集客へ歴史講談 3月末まで・奥州衣川青凜会
奥州市が2022年度末でいったん休止の方向を示している衣川地域の黒滝、国見平両温泉を盛り上げようと、奥州衣川青凜会(佐々木常重会長、会員20人)の「おんせん講談」が22日、黒滝温泉を皮切りに始まった。3月末まで毎週日曜日に両温泉で交互に行う予定で、各日2人が担当。初日は2演目を披露し、熱のこもった語りに利用客が引き込まれていた。同会では「地域内外の人たちに愛されている温泉。自分たちができることで貢献したい」と話している。
地元の歴史を題材とした歴史講談活動を行っている同会では、市から両温泉休止の方向が示されたことを受け、温泉の集客に一役買いたいと、22日から3月26日までの期間の日曜日にボランティア口演を計画した。地元在住会員を中心に、13人が1、2回ずつ出演する。
初日は、地元の南股太郎水樹(本名塚本康雄)さんと神楽正司(本名千葉正司)さんが担当。「きょうはこれも楽しみ」と座敷で休憩していた温泉利用者を前に、堂々と口演を繰り広げた。
水樹さんの演目は、30年前の村長が最初に黒滝温泉の湯に漬かった際のエピソードなどこれまでの歴史をひもとき、熱い思いを伝えたいと新たに作った「黒滝温泉物語」。同日は当時の村長佐々木秀康さんも温泉を利用しており、「ありがたい話をしてもらった」と感謝していた。
一方、正司さんの演目はおなじみの「山内一豊の妻(山内一豊~出世の馬揃(ぞろ)え)」。正司さんは山内一豊と妻千代のやりとりを情感たっぷりに演じたほか、織田信長の元に馬ぞろえで駆け付けた武将を調子よく紹介。「一豊の心に開きし千代桜」の句を朗々と謡い上げ、盛んな拍手を受けていた。
正司さんは「お客さんの反応が良くてやりやすかった。とても良い雰囲気を楽しませてもらった」と初回の感想を話していた。
同会では「毎週、いろいろな会員がそれぞれの持ち味を発揮してくれると思う。温泉と一緒に講談を楽しんでもらいたい」としている。おんせん講談は、各日とも午後2時から。