奥州・金ケ崎

精巧 閂付き箪笥 菊地さん(岩谷堂タンス製作所)大臣賞 伝統工芸士会作品展【奥州】

経済産業大臣賞を受賞した菊地さんと「閂付き整理箪笥」
玉杢ケヤキ使用、金具に趣向

 奥州市江刺の岩谷堂タンス製作所の菊地裕一さん(44)=同市江刺愛宕=は、第24回日本伝統工芸士会作品展(2022年11月18~20日、秋田市)で経済産業大臣賞に輝いた。岩谷堂箪笥(たんす)生産協同組合(三品健悦理事長)として同賞受賞は第21回(19年)以来。受賞したのは「閂(かんぬき)付き整理箪笥」で、表面材に貴重な玉杢(たまもく)のケヤキを使い、斬新なデザインの金具を取り付けた逸品。菊地さんは「良い箪笥を作り続け、岩谷堂箪笥の知名度を上げていきたい」と意欲を語っている。

 菊地さんは同市江刺愛宕出身。小学5年生の時、岩谷堂箪笥の工場を見学したことをきっかけに地元の伝統工芸に興味を持ち、高校卒業後1997年に同社に入社した。

 職人としてたんす製作に従事し、2000年に2級家具製作技能士、12年に伝統工芸士に認定。21年には県青年卓越技能者表彰を受けた。

 同作品展は日本伝統工芸士会、伝統的工芸品産業振興協会が主催。伝統的技術を保持する伝統工芸士の技量を存分に発揮した作品の展示会で、競い合うことでさらなる技術向上を図ることなどを目的としている。同賞は衆議院議長賞と共に最高賞に位置づけられる。

 菊地さんは「今はあまり作られなくなっている」という引き出しを閂で止める箪笥(幅66センチ、奥行き37センチ、高さ62センチ)を出品。「原点回帰ではないが、作ってみたいと思った」という。玉杢のケヤキは細かい渦状の木目が入ったなかなか手に入らない貴重な材で、閂や表に使って独特の雰囲気を出した。

 また、天板と側板のつなぎ目が分からないように接合する技法「隠し蟻組接(ありくみつ)ぎ」を得意としており、作品の天板と側板の接合部も精巧な仕上がり。さらに創意を凝らした「鶴」「亀」「鯛(たい)」などの銅手打ち金具を各所に配した。

 菊地さんは「大きな賞を取れるとは思っていなかったので、大臣賞はうれしい」と喜ぶ。「もっともっと良い品を出品して岩谷堂箪笥の知名度を上げていきたい」と語るとともに、同社の工場長として「後継者育成に力を入れていきたい」と意欲を示す。

 同社の社長でもある三品理事長は「うちの職人でもあり、うれしく思う。岩谷堂箪笥のレベルが高いことを認めてもらったと感じている」と喜んでいる。

 同作品展の入賞作品は、2月16~21日に東京都の東武百貨店池袋店で開かれる第8回日本伝統工芸士会秀作展で展示、販売される予定。表彰式は初日に同店で行われる。

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