北上・西和賀

垣間見る近代の暮らし 農業、養蚕中心に紹介 市立博物館和賀分館企画展「和賀新聞」【北上】

和賀新聞や2度の大凶作、養蚕について紹介している北上市立博物館和賀分館の企画展

 北上市和賀町の市役所和賀庁舎内の市立博物館和賀分館で企画展「『和賀新聞』から知る近代の和賀の人々のくらし」が開かれている。明治末期から昭和初期にかけて発行された和賀新聞から、農業と養蚕を中心に当時の人々の生活ぶりを垣間見ることができる。2月12日まで。

 和賀新聞は1906(明治39)年、黒沢尻町の中島文次郎により創刊。時事問題から地域の問題、娯楽教育、農業の心得まで、北上川以西を中心に取り上げた。44(昭和19)年に政令で一時休刊するまで郷土に大きく貢献していたことを知ってもらおうと、市立中央図書館所蔵の中からピックアップした。

 企画展では創刊号や郷土の詩人・豊田玉萩の連載小説、「水沢鉱山の門番の態度が横柄だ」との投書などを展示。「昨年は不作で良い米が取れず、餅を作るのに困っている。良い方法を教えて」など、生活の問題に答えた記事もある。

 田植えは間隔を空け真っすぐな列にするよう推奨するなど、農作業の改良点に関する記事も出展。05(明治38)年と34(昭和9)年、2度の大凶作との闘いを挙げ「言論に携わる者が苦境を世に知らせ、続々と支援が届く」と新聞の役割を示し、冷害に強い品種作りへ関係機関が腐心した様子が見て取れる。

 副業としての養蚕も紹介。当時は生糸が高騰し養蚕の心得を説く記事もみられ、国策としてより良い養蚕作業を奨励して所得向上につなげようとしたとみられる。当時の暮らしをイメージできるよう機械化前の農機具、養蚕の用具も併せて展示している。

 企画展を担当した市立博物館の千葉祐樹主任は「和賀新聞が地元の言論の中心となっていたことや、たびたび凶作に襲われながらも先人たちの知恵で乗り越えた点、養蚕が農家の副業として重要な役割を果たしていたことをぜひ知ってほしい」と呼び掛けている。

 開館は午前10時から午後4時まで。月曜休館。入場無料。

地域の記事をもっと読む

北上・西和賀
2024年5月18日付
北上・西和賀
2024年5月18日付
北上・西和賀
2024年5月17日付
北上・西和賀
2024年5月17日付