奥州・金ケ崎

来年度も直営継続 奥州市 受け皿設立へ猶予 黒滝、国見平両温泉

 奥州市は26日、市議会全員協議会で衣川地域の黒滝、国見平両温泉の直営での営業について2023年度も継続し、地元の受け皿となる組織設立に向けて協議を進める考えを示した。22年11月には22年度末でいったん休止の方向を示していたが、同地域での住民説明会で地元運営を検討する時間が欲しいとの要望が出されていた。倉成淳市長は「地元に任せるだけでなく、知恵を出し合う期間としたい」と話している。

 両温泉の対応について市商工観光部観光施設対策室は「指定管理を挟んだ民間譲渡という基本方針に変わりはない」とした上で、「温泉施設の営業を継続しながら地元との協議を進めていく」とした。判断理由には「地元で温泉運営の組織を検討する動きがある」「平泉を中心とした観光面での連携の可能性がある」ことを挙げた。

 当面は地元と協議を進めるが、▽地元振興会を窓口とし、地元での温泉を運営する組織や形態の検討期限は今年9月末▽施設の運営方式は指定管理で行い、自主的な運営を目指す▽市直営での温泉営業は23年度の1年以内とし、経営改善を行いながら地元協議を進める▽周辺地域・施設と観光面で連携するとともに、地域団体が自主的に行う地域づくりの場として活用―を前提とする考え。指定管理への移行など「24年度予算編成に対応するためのリミット」として、検討期限を今年9月とした。

 倉成市長は「今後の継続については、その計画が合理的か、持続可能なプランかが大事だ。先日、黒滝温泉の営業継続を要望する署名が出されたが、署名の52%が平泉、一関、宮城県。ここに連携して展開する可能性を感じた」とし、「地元との協議に当たっては地元に任せるだけでなく、知恵を出し合う半年間としたい」と語った。

 今後は、2月中旬に招集される市議会2月定例会に関連予算を盛り込んだ今年度一般会計補正予算案を提出する考えだ。

 市は、市営の日帰り温泉3施設の民間譲渡に向け「日帰り温泉の民間移譲に向けた基本方針」を策定。前沢温泉は民間譲渡を前提とした指定管理に移行している。黒滝、国見平両温泉については意向調査で譲渡、指定管理を受ける意向が示されなかったことから、昨年11月に今年度末でいったん休止するとしていた。

 その後、同12月に国見平温泉がある衣川北股地区と黒滝温泉がある衣川南股地区で、今月12日に衣川全域を対象として住民説明会を実施。12日の説明会では、愛好者団体が集めた「黒滝温泉の営業継続を要望する署名」1961筆が提出されるとともに、営業存続を求める声や、地元運営を考えるための時間が必要だとの意見が相次いで寄せられていた。

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