奥州・金ケ崎

音鳴らし邪気払う 鎮守府八幡宮「加勢祭」 水沢【奥州】

鎮守府八幡宮で行われた特殊神事「加勢祭」。幣束、かぶら矢、宝剣、参列者が音を鳴らし災厄を払う

 奥州市水沢の鎮守府八幡宮(菅原正明宮司)で1200年近く脈々と続けられている特殊神事「加勢祭」が29日、3年ぶりに一般参列者も加わって同八幡宮で行われた。慈覚大師が同地を訪ねた際の故事に倣い、郷土の安寧と繁栄、疫病退散、悪難消滅などを祈る神事。菅原宮司は「神事によって悪いものを払った。地域の一年の精進を見守りたい」と話している。

 同祭は850(嘉祥3)年に鎮守府を訪れた慈覚大師が同地が病災に見舞われていたことから、疫病よけの護符をささげて旧暦正月7日夜八幡大神に祈り、薬神を刻印した白紙を翌8日早朝に氏子の戸口に貼ったとされる故事が起こりとされる。薬神は牛頭天王、スサノオノカミとし、蘇民将来の故事により「蘇民像」と呼ばれるという。

 コロナ禍で2021、22年は総代のみで行ったが、23年は例年のように一般参列者も加えて催行し約100人が参列した。

 祭儀では菅原宮司が祝詞で記帳した人たちの氏名を読み上げて安寧を祈り、地元の八幡権現舞保存会が権現舞を奉納。高橋整総代長をはじめ、振興会、行政区長などの代表が玉串をささげた。

 加勢行事では、菅原宮司が拝殿から外に向かって祈りの言葉を述べ、菅原宮司は幣束を振るい、宮司の両脇では宝剣やかぶら矢を掲げて打ち鳴らした。それに合わせて拝殿に参列した人々は「ヤーッ」と声を上げて、手を激しく打ち、じだんだを踏み鳴らした。郷土の繁栄や疫病退散などさまざまな願いを込めてこれを2回繰り返した。

 祭儀の後、恒例となっている坂上田村麻呂が奉納したとされる宝剣とかぶら矢、源義家が奉納したとされる弓が公開され、参列者が興味深く見入るとともに、宝剣を持って記念撮影していた。

 菅原宮司は「音を立てることで邪気を払う。時代の流れもあって現在は2回となっているが、かつては8回繰り返していた」と祭儀について説明。「悪いものを地域から払う旧暦正月の大切なお祭り。やらないと駄目ではないかという感覚もあって今年は催行した」と話している。

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