守れ貴重な文化財 中尊寺、毛越寺で防火訓練 平泉
平泉町の2023年文化財防火訓練は29日、中尊寺と毛越寺境内で行われ、消防関係機関や団体、管理者らが各種消火活動や火災防御、観光客の避難誘導などの訓練を通して、世界文化遺産の構成資産でもある貴重な文化財を火災から守る手順を改めて確認した。
町、町教委、町消防団、町婦人消防協力隊および両寺が実施団体となり、異常乾燥と強風下の午前8時30分に中尊寺の旧覆堂北側付近、9時20分に毛越寺の厨房(ちゅうぼう)からそれぞれ出火したとの想定で訓練に臨んだ。
このうち中尊寺では、延焼の恐れがある金色堂付近一帯で同寺特設消防隊と一関西消防署が警戒放水。同署平泉分署と消防団は弁天池から消防ホースを連結し旧覆堂などへの延焼を防ぐ放水および避難路の確保、特設消防隊は重要文化財の搬出や外国人を含む観光客の避難誘導にも当たった。
毛越寺では、同消防署と平泉分署が消防団による大泉ケ池からの中継送水を受けて火元へ放水したほか、消防団は境内に隣接する町営毛越寺駐車場や観自在王院跡で中継送水や付近一帯の警戒放水を実施。同寺自衛消防隊は境内の私設消火栓を用いた火元への送水、役場特設消防隊は大泉ケ池から取水し本堂への延焼を阻止すべく放水を行った。
同日の一関地方は、朝方の最低気温が一関氷点下6・2度、千厩同8・0度(ともに盛岡地方気象台調べ)と厳しい冷え込みとなり、弁天池や大泉ケ池では表面を覆う厚い氷を割って放水訓練に必要な水を確保。参加者は寒さに負けず、きびきびとした動作で訓練に取り組んだ。
講評で小山晃一関市消防本部消防長は、関係機関や団体が連携した大変有意義な訓練と評価した上で「部隊活動は誠に優秀だった。今後もこうした訓練を継続的に実施、検証していただきたい」と語った。
同町では、国宝や重要文化財など5000点を超える貴重な文化財を火災から守るべく、文化財防火デー(1月26日)に合わせて毎年防火訓練を行っている。