県予算7714億円 8年連続減少 人口減対策など重点 来年度一般会計当初案【岩手】
県は6日、2023年度一般会計当初予算案を公表した。予算額は7714億円で前年度当初を208億円(2・6%)下回り、8年連続で減少した。通常分は7349億円で、新型コロナウイルス対応のほか、人口減少対策などの関連予算を重点的に措置した。震災分は復興事業の進捗(しんちょく)に伴い、過去最少の366億円となったものの、市町村が実施するソフト事業の支援制度創設など、大規模災害の犠牲者をゼロにする取り組みに注力していく。【2面に関連】
震災対応分はハード事業がほぼ完了し、前年度当初比111億円(23・4%)減と8年連続で減少。来年度はソフト事業に対する支援を中心に、沿岸市町村が実施する避難対策や自主防災組織の育成・活性化などに必要な経費を補助する予算を盛り込んだ。
通常分は、定年引き上げによる退職手当支給の減少などにより97億円(1・3%)の減少。主に子育て世帯の経済的支援の拡充や、地域経済と環境に好循環をもたらす取り組み、デジタル化の向上などに必要な経費を計上した。新型コロナ対応分は914億円。感染拡大防止に向けたPCR検査や入院措置、ワクチン接種の体制確保などに継続して取り組む。
歳入は、自主財源は諸収入が減少する一方、地方消費税清算金が増えることから、0・3%増の3295億円。依存財源は地方交付税が増加する一方、県債の減少により2・5%減の4054億円となる見込み。
県税収入は個人県民税や自動車税の増加などにより、1・1%減の1293億円。地方交付税は2・1%増の2205億円。実質的な地方交付税である臨時財政対策債を加えた額は、1・1%減の2239億円。震災復興特別交付税は21・6%減の8億円。
歳出の震災分は、復旧・復興事業の進捗に伴い、23・4%減の366億円。通常分は義務的経費が4・8%減の2658億円、投資的経費が4・6%増の882億円。義務的経費のうち、人件費は定年引き上げに伴い退職手当が減少することや、職員数の減小により6・7%減の1637億円となる。
プライマリーバランス(基礎的財政収支)は、418億円の黒字。当初予算ベースで12年連続の黒字見通しで、財政の健全化を推進した。
達増拓也知事は、同日の定例会見で「子育てや結婚、進学、スポーツ、仕事、地域活動などを頑張っている県民一人ひとりが活躍を広げられるようにという考えの下、予算に盛り込まれたさまざまな事業によって県民がエンパワー(力を発揮)できるようになってほしい」と述べた。
県は、15日に開会する県議会2月定例会に予算案を提出する。