古代・中世に焦点 国見山廃寺、和賀氏関連も 「新編」市史資料編発刊【北上】
北上市は、新編の北上市史資料編「古代・中世」を発刊した。6世紀後半から17世紀前半までの現市域、周辺地域の歴史資料を網羅。国指定史跡の国見山廃寺、中世に和賀郡一帯を治めた和賀氏などに関する史料も豊富に盛り込まれている。
第1部は古代、第2部は中世。各5章で構成する。古代では和賀、蝦夷(えみし)などに関する文献から年代別に拾い上げ、法制、儀式、仏教に関する史料も掲載。前九年の役と後三年の役関係、発掘調査から出土した史料、国見山廃寺など古代寺院関係の史料も取り上げた。
中世は鎌倉時代から戦国、江戸時代初期までの各種史料を掲載。和賀氏の関係史料、系図なども詳細に記載し、和賀氏の栄枯盛衰を感じ取ることができる。信仰の対象となった「まいりの仏」、二子城、岩崎城、鹿島館など和賀郡内の241件の城館、各地の「板碑」なども詳述。関連する写真や図版、石造物などは付属のDVDに収められている。
各大学などの専門家や市文化財課職員らが執筆。膨大な史料を収集し解読、精査した。市総務課市史編さん室は「板碑や石造物など、気付きにくいが普段身近に目にするものも掲載されている。ぜひ地元の歴史を知ってもらえれば」と語っている。
北上、和賀、江釣子の旧3市町村では1991年の合併前にそれぞれ自治体史を刊行。新市発足後の市史は、旧市と区別するため「新編」としており、2020年度に発刊した特別編「自然」に続き2冊目となる。これらを含め市は26年度までに資料編、通史編、特別編合わせて10冊刊行する計画で、22年度内に資料編「考古」を発刊する予定。
「古代・中世」はA4判、全678ページ、DVD付きで一冊6000円(税込み)。市役所別棟の同室や市生涯学習センター、市立中央図書館、市立博物館で販売し、郵送も受け付けている。問い合わせは同室=0197(72)8309=まで。