柴田さん(奥州出身)が第1位 オーケストラ・アンサンブル金沢応募曲 梅若さん(人間国宝・能楽師)らが上演
奥州市江刺出身で愛知県在住の作曲家・柴田誠太郎さん(32)は、石川県音楽文化振興事業団によって行われた「オーケストラ・アンサンブル金沢~和洋の響3~オーケストラ作品募集」で応募作品が第1位・優秀作品に選ばれ、観世流シテ方の能楽師で人間国宝の梅若桜雪さん、新国立劇場バレエ団の元プリンシパル本島美和さんにより上演された。柴田さんは「今回の経験を決して無駄にしないよう、一層着々と作曲していく」と音楽活動への意欲を高めている。
柴田さんは県立岩谷堂高、岩手大教育学部芸術文化課程音楽科卒、愛知県立芸術大大学院博士課程作曲領域修了。2015、16年には一関市の修紅短大で特別講師を務めた。国内外の作曲コンクールで入賞・入選しているほか、同市立千厩小学校校歌など数多くの作曲、編曲を手掛けている。
「和洋の響」は40歳以下の若手作曲家を対象に新曲を募集し、採用作品をオーケストラ・アンサンブル金沢が演奏して国内外に発信する企画。20年度に始まり3回目の今回は、能舞と合わせることが可能で邦楽器を取り入れた未発表のオーケストラ作品を募り、全国から6作品が寄せられた。
柴田さんは「箏とオーケストラによる3人の『坊』」を応募し、作曲家・池辺晋一郎さんと指揮者・松井慶太さんの審査によって第1位・優秀作品に選ばれた。
初演の演奏会は12日に石川県立音楽堂で開かれ、箏奏者の金子展寛さんとオーケストラ・アンサンブル金沢の音色に能とバレエの舞が加わり、和と洋のコラボレーションを繰り広げた。
柴田さんは梅若さん、本島さんとの共演について「全く想像できない規模のことで、大変ありがたく思った。公演の3日前から先生方とご一緒させていただいたが、大ドキュメンタリーを見ているようで、この貴重な経験を無駄にしてはいけないと思った」と振り返り、さらなる飛躍を誓っている。